横浜に最上階の分譲価格が8億円という58階建て超豪華タワーマンションが登場する。中間階にはホテルも併設される。いったいどんなマンションなのか。住宅ジャーナリストの櫻井幸雄さんがリポートする。【毎日新聞経済プレミア】

 ◇ベイブリッジ、みなとみらいを見渡す

 横浜みなとみらい21地区と関内地区の中間で、横浜市最高層・最大規模の「ザ・タワー横浜北仲」(事業主は三井不動産レジデンシャルと丸紅)が現在建設中だ。11月25日から販売が始まり、最上階58階に配置される住戸は8億円だ。

 専有面積は約212平方メートル、約64坪。マンションの平均的な広さ70平方メートル・3LDKが3戸分収まる広さに、ゆったりと3LDKを収めるプランが提案されている。このクラスになると、実際の間取りはオーダーメイドになることが多い。

 一般に15畳程度の広さで「広い」とされるリビングダイニングは、規格外の60畳大。寝室は22畳。来客用の寝室も設けられ、そこには専用のバストイレが付く。住戸の向きにもよるが、リビングの窓からは横浜港とベイブリッジの眺望、そしてみなとみらい21地区を見下ろす景観が楽しめる。

 「ザ・タワー横浜北仲」では、200平方メートルを超える大型で高額の住戸が4戸つくられる計画。このような話を聞くと、思わず「そんなマンション、誰が買うのか」と言いたくなる。「東京の中心地ならともかく、横浜で購入者がいるのか」という疑問もわく。

 しかし、今の不動産会社は、目算なしにマンション開発を行わない。「売れる」という自信を持っての分譲開始だ。実際、東京の中心エリアでは、超高層マンションの最上階部分で15億円クラスのマンション住戸が複数登場しており、それをはるかに超えるモンスター級・高額住戸もでている。超高層タワーマンション、都心低層マンションの最上階というようなプレミアム・ポジションの住戸であれば、想像を超える価格設定になってしまう時代なのだ。

 ◇併設ホテルのサービスを受けられる

 では、「横浜で売れるの?」という疑問に対してだが、実は横浜市は人口373万人で、すでに大阪市の271万人より100万人も多い大都市となっている。これだけの大都市であれば地元に富裕層が多いし、「ヨコハマにセカンドハウスを持ちたい」という富裕層が全国、そして全世界に出てくることも不思議ではない。8億円の住戸を横浜で検討したいという人が複数現れても当然だ。

 そして、8億円住戸には、他のマンションではなかなかお目にかかれない特典が付けられている。

 「ザ・タワー横浜北仲」は、1〜3階にはスーパーマーケットを含む商業施設・文化施設が入り、46階から51階はホテル。一般的なホテルと少し性格が異なるサービス付き長期・短期滞在型宿泊施設「オークウッド」が入る。「オークウッド」よりも上の階の住戸、つまり52階から58階までのフロアがハイグレードエリアと位置づけられている。

 ハイグレードエリアに直結するエレベーターは46階のホテルロビーにも停まるため、ホテルのロビーで客と待ち合わせて、住居部分に案内することができるし、ホテルのレストランも利用しやすい。さらに、室内清掃をホテルに依頼できるサービスなども将来的に採用される可能性が考えられる。ホテルに暮らす便利さと、マンション住戸のくつろぎの両方が手に入るわけだ。ホテルと一体化し、ホテルのサービスも受けられるマンションは極めて数が少ない。その希少性もある。

 もちろん、「ザ・タワー横浜北仲」は、限られたスーパー富裕層だけのものではない。総戸数は1176戸で、第1期分譲住戸は、約44平方メートルの1LDKが4500万円から。最多価格帯は6600万円で、5000万円台〜7000万円台の2LDK、3LDKがある。それなら手が届くと言う人も多いだろう。

 ◇すでに多くの資料請求、モデルルーム見学者

 みなとみらい線「馬車道」駅と直結し、同駅から徒歩1分。横浜の歴史的建造物が並ぶ広場を通り、ショッピングを楽しみながらマンションの入り口に……。これまで、他にはなかった住み心地を実現するマンションで、昨年12月に資料請求の受け付けを始めてから今年11月12日までに約1万4200件もの資料請求があった。驚異的な数字である。

 そして、8月からのモデルルーム見学者は3600組以上。ケタ外れの注目度で、第1期分譲で販売される住戸は730戸。一つのマンションで一度にこれだけ多くの住戸を売り出すのは、横浜市内での最高記録となる。
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