会計検査院は8日、国の2016年度決算の検査報告を安倍晋三首相に提出した。計874億円(423件)について、税金の無駄遣いや不適切な経理処理などを指摘した。このうち補助金の過大交付や法令違反に当たる不当事項は137億円(333件)。指摘額が1千億円を下回ったのは06年度以来で、過去10年で最も少なくなった。

 15年度の指摘額は約1兆2千億円で、今回は大幅に減少。15年度は預金保険機構で1兆円超の指摘があった。

 省庁別にみると、指摘金額が最も大きかったのは国土交通省の384億円(30件)。公共工事の入札時に工事品質を確保するため、低すぎる価格で入札した業者を排除する制度を誤って適用したため、入札額が低く、技術力が高い業者が失格とされてしまったケースがあった。

 2番目は農林水産省の157億円(34件)。鳥獣被害を防ぐための交付金事業を巡り、侵入防止柵に隙間があったり壊れたまま放置されたりしていた事例があった。

 件数では厚生労働省への指摘が135件(80億円)と最も多かった。このうち海外の戦没者の遺骨収集事業は会計処理が著しく不適切で、不当事項とされた。領収書が水増しされ約879万円の使途が不明だったり、虚偽の内容の領収書を作成したりしていた。雇用保険に関連した助成金の支給が不適正なケースなどもあった。
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