Apple Watchの最も有効な使い道は、実はメールやSNSの通知を受け取ったり、手首に向かって電話をしたりすることではなく、自分に身に迫る健康の危機を察知するところにあるのかもしれません。アメリカに住むある男性は、Apple Watchとアプリが心臓の異常な拍動を感知したことから病院を訪れたところ、肺の血管が詰まる肺血栓を起こしていて、一歩間違えると致命的な状況に陥る寸前だったことがわかりました。

ニューヨーク・ブルックリンに拠点を置くポッドキャストプロデューサー/レポーターのジェームズ・グリーンさんはある日、2年前に購入して常に着けていたApple Watchとアプリ「HeartWatch」のおかげで命が救われたとのこと。その様子について、「2年前に買ったショボくてちっちゃな手首のコンピューターが僕の命を救うとは考えてもなかった。心拍数が上がったと思ったら、肺血栓になっていた」という内容をツイートしています。

https://twitter.com/_jamestgreen/status/918849102741458944

グリーンさんが使っていたアプリ「HeartWatch」は、心拍の状態を常に監視することで異常を察知するというもの。純正の「ヘルスケア」アプリにも同様の機能は備わっていますが、「Apple Watchの健康センサーの力をアンロックする」とうたうアプリは、純正アプリよりもさらに高度な管理機能を備えている模様です。

グリーンさんは過去にも同様の病気を患ったことがあることから、近年は「シリアルな(連続的な)健康トラッッカー」であると自身について語っています。Apple Watchも健康トラッキングの大切なツールだったのですが、世代が古いモデルのために純正アプリの異常通知機能に対応しておらず、HeartWatchを導入していた模様。命を救われたグリーンさんがHeartWatchについて「HeartWatchすげえ!アンタたちはマジでヤバいもんを作ったな」とツイートしたところ、HeartWatchの公式アカウントから「ありがとうございます!そしてすごい!あなたが無事でとても良かったです。お力になれて良かった。一刻も早く良くなってずっと健康でおられますように」と返信しています。

アラートを受け取った時の様子についてグリーンさんは、「HeartWatchが、僕の心拍がいつもより高いことをアラートしてきました。僕の安静時心拍数は54なんですが、ただ机に座ってるだけの時でもそれよりも高い値を示していました」と振り返っています。そして「ほかの症状と併せて考えて、すぐに対応する必要があることがわかりました。不安な気持ちから来るパニック発作の症状ではなく、もっと悪いものだとわかりました」と語ります。すぐに病院を訪れてCTスキャンの診察を受けたところ、肺に血栓があることが判明。超音波治療と血液の粘度を下げる注射の処置を受けました。

グリーンさんは、もしあともう少し対処を躊躇していたら、命を落としていた可能性もあったと医師から告げられたとのこと。HeartWatchを作ったデーヴィッド・ウォルシュ氏は、自身の父親が心臓疾患がもとで56歳という若さで亡くなったことから、このアプリの開発を志したそうです。そんなウォルシュ氏にとって、グリーンさんからの知らせはきっと喜ばしいものだったに違いありません。

実はこの記事を書いている編集部員も、Apple Watchのメリットが実は健康管理機能にあるのではないかと思い始めている1人。最新のApple Watch Series 3を含め、過去1年以上にわたってApple Watchを着け続けてきたのですが、通知機能や電話機能よりも活用しているのが、心拍モニター機能であるといっても過言ではありません。毎日の心拍データがこのように「ヘルスケア」アプリで管理でき……
http://gigazine.net/news/20171022-apple-watch-pulmonary-embolism/