テレビなどを製造するオリオン電機(福井県越前市)は、音にこだわった液晶テレビシリーズ「極音(きわね)」を10月上旬に発売する。高音、中低音は左右それぞれ専用のスピーカーで、重低音はダクト(パイプ穴)から出すことで、鮮明で臨場感のある音質を実現した。同社の国内テレビシェアは10%未満だが、新シリーズ投入を機に2019年3月期までに倍増させたい考えだ。

 発売するのは、32型と24型の2機種。32型以下のサイズのテレビは特に顧客からの音質に対する改善要望が多かったことから、高音質シリーズの投入を決めた。聴力の低下した高齢者からゲーム好きの若者まで幅広い層の需要を見込む。

 一般的なテレビでは画面と一体になっているスピーカー部分を独立構造にしたことで、内部の密閉性を高めて音が分散しにくい構造にした。中・小型のテレビではスピーカーが下向きになっていることが多いが、新商品は前面に向けたことで、利用者が音声を聞き取りやすくなっている。

 スピーカーのカバーは取り外しが可能で、取り扱いに注意が必要になるものの、よりクリアな音声が聞けるようになるという。

 性能を最大限発揮するため、視聴内容に合わせた4つの音声モードを用意した。安定した音質を表現する「おすすめ」のほか、音楽の臨場感を高める「ミュージック」、人の声が聞きやすくなる「はっきり音声」、利用者が自由に調整できる「お好み設定」でモード選択の幅を広げた。

 32型には左右10ワットずつのオーディオ用アンプを採用。中・小サイズで一般的な5ワットのものと比べた最大音量が大きくなるため、性能の余裕が生まれ、音がひずみにくくなる。

 価格はオープンだが、参考価格は32型が4万5千円、24型が3万5千円を見込む。同型の他製品と比べて5千〜1万円高いが、外付けのスピーカーを購入するよりは安く済むという。年間消費電力が32型が37キロワット、24型が30キロワットと共に同サイズでは最高レベルの省エネ性能になっている。
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