違法な薬物や武器、個人情報などが取り引きされるネット空間「ダークネット」に、企業の情報が漏えいしているケースが増えています。NTTグループは、企業向けにダークネットの監視や対策の助言を行う事業に、この分野で先行するイスラエルのIT企業と提携して本格的に参入することになりました。
「ダークネット」は、専用のソフトやパスワードがないと、閲覧や書き込みができないサイトです。
違法な薬物や武器、盗み出されたパスワードやカード番号などが取り引きされ、最近では企業の内部資料や従業員の個人情報が掲載されているケースも増えています。

これを受けてNTTグループは、ダークネット対策で先行するイスラエルのIT企業、ケラ社と提携して、ダークネットを24時間監視し、企業に関わる情報を発見したり、対策を助言したりする事業に本格的に参入することになりました。

5日は、企業の情報セキュリティーの責任者を対象にしたセミナーを開いて、ダークネットで企業に関する情報がやり取りされている現状や、イスラエル軍のサイバー部隊で培ったケラ社の独自技術を紹介しました。

また東京オリンピックに向けて、国内外からサイバー攻撃の増加が懸念されることや、あらゆる製品や施設をネットにつなげるIoTの普及に伴って、情報漏えいのリスクも高まることを指摘し、対策の必要性を訴えました。

「NTTセキュリティ・ジャパン」の与沢和紀社長は「日本の企業は目に見えないリスクにお金をかけることをためらいがちだが、ダークネットの脅威を知ってもらい、リスクに備えてほしい」と話しています。
「ダークネット」日本でも犯罪の温床に
「ダークネット」は、インターネット上にあるもののアドレスが通常のサイトとは異なり、検索サイトでは表示されないうえに、発信元を特定しづらくする特殊なソフトを使って書き込みを行うため、国内でも犯罪の温床になっているということです。

去年3月には、津市の21歳の男が、銀行口座の購入を持ちかける書き込みをしていたとして警察に逮捕される事件がありました。

アメリカではことし7月、違法な薬物や武器、それに個人情報などを20万人以上が売買していた世界最大規模のサイト、「アルファベイ」が摘発されています。

情報セキュリティーのサービスを行っている会社「サイバーディフェンス研究所」によりますと、各国の警察当局などがインターネットの取締りを強化する中、犯罪者が情報交換や取り引きの場をより匿名性の高いダークネットに移す傾向が強まっているということです。

企業向けにダークネットを監視するサービスは、欧米に比べて日本では少なく、企業側の意識も低いのが現状だということです。

今後、ウエアラブル端末やIoTの普及に伴って、個人の医療や健康に関するデータや、企業活動に関わる情報が飛躍的に増えるのに伴って、情報漏えいのリスクも高まることから、企業は、IT技術の利便性だけでなく情報が盗まれ、悪用される危険性への意識を高める必要があるとしています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170905/k10011127841000.html