日本の電機メーカーはかつてNTTグループなどと二人三脚で日本独自の携帯端末の開発を競い合い、巨額の収益を稼いできた。しかし、2007年に米アップルが「iPhone」を発表したことで市場が一変。国内各社の収益力は急速に低下し、撤退・再編が続く。00年代初めに11社あった主な国内携帯メーカーはソニーなど3社に減る。

 国内メーカーでは08年に三菱電機、12年に東芝、13年にはNECとパナソニックが携帯電話端末事業からそれぞれ撤退。NTTドコモなど携帯大手に規格づくりからマーケティング戦略まで頼る旧来型のビジネスモデルが、スマートフォン(スマホ)時代に通用しなくなった。

 残る富士通やシャープら国内勢は基本ソフト(OS)「アンドロイド」搭載のスマホで防水や「おサイフケータイ」など日本仕様での対抗を試みた。だが、世界市場で先行するアップルや韓国サムスン電子には収益力で遠く及ばない。近年は年1億台以上を販売する中国の華為技術(ファーウェイ)の前に存在感は薄れる一方だ。

 NEC、日立製作所に続く富士通の撤退で「電電ファミリー」と呼ばれたメーカーはすべて携帯市場から姿を消す。残る国内勢が生き残るには、通信会社頼みではなく独創的な商品・サービスを自ら生み出す以外に道はない。
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO20221860R20C17A8TJ2000/