街を行く人に尋ねてみれば、きっと誰しも住んでみたい街があるはず。けれども理想と現実には、得てして大きな差があるものだ。憧れのあの街は果たして本当に素敵な街なのか? まったくノーマークだけど、実は住みやすい街は? 今回は、SUUMOが行った「住みたい街ランキング 2017」で11位にランクインした「自由が丘」(東京都目黒区)について、ライターの金子則男氏が解説する。

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 オシャレな街が多い城南地区の中でも、街並み、立ち並ぶ店、街往く人々、すべてのオシャレ度において群を抜いている街・自由が丘。

 まず交通面に関しては、東急東横線と大井町線が通っており、また東横線が副都心線と連絡するようになったことにより、渋谷や二子玉川、大井町だけでなく、新宿(新宿三丁目)にも1本で行けるようになったのは高いポイントです。

 一方、道路状況はあまり良好ではありません。駅周辺はすべて片道1車線で、そこを東急バスがガンガン走り、車で買い物にやってくる住民が多く、踏切もあるため、一帯は常時混み合っています。とにかく高級車が多いため、擦ったりしたらもう大変。歩行者も多いので、運転に自信がない人は踏み込まないのが賢明でしょう。

◆ライバル・二子玉川の台頭

 家賃もさることながら、自由が丘は基本的に“お金持ちの街”という印象です。スタイリッシュな飲食店やセレクトショップが立ち並んでおり、駅名となっている「目黒区自由が丘」をはじめ、中根、八雲、世田谷区の奥沢、深沢あたりには、「庭付き一戸建て ガレージには外車が2台」というような家も珍しくありません。スーパーはたくさんありますが、『紀ノ国屋』『ザ・ガーデン』などの高級スーパーは、少しでも安く買おうと考える庶民には使い勝手がよくないかもしれません。

 また、自由が丘住民にとってもっとも頭が痛いのが、二子玉川の台頭です。これまでずっと“オシャレな街”のトップランナーだった自由が丘ですが、近年、商業施設が次々と完成した二子玉川に押されつつあるのが現状。自由が丘は、二子玉川とは違ってもはや開発の余地がなく(計画はありますが、実現するかどうかは極めて不透明)、時代の趨勢は二子玉川に傾きつつあります。

 とはいえ「自由が丘」というブランドは健在です。自由が丘の良いところは、網羅する範囲が広いところ。駒沢公園方面は、超高級住宅街ですが、東急目黒線の奥沢、大井町線の緑が丘あたりなら、「自由が丘に住んでいます」と言っても許される範囲内でしょう。自由が丘のワンルーム・1K・1DKの相場は10.08万円ですが(ライフルホームズ調べ)、奥沢なら8.49万円、緑が丘なら7.75万円と一気にグッと下がりますので、そちらを選ぶのもひとつの手ではないでしょうか。
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