http://www.nikkei.com/article/DGXLASDX11H0K_R10C17A7FFE000/

2017/7/11 21:45

 【ソウル=山田健一】韓国サムスン電子は11日、半導体の受託生産事業の技術戦略を取引先などに説明した。次世代の回路線幅7ナノ(ナノは10億分の1)メートルの半導体を最先端の製造技術を取り入れて2018年から量産する。IT(情報技術)の進化に重要な技術革新で、受託生産で世界首位の台湾積体電路製造(TSMC)に先行する。

 受託生産するのは電子機器の頭脳部となる大規模集積回路(LSI)。サムスンはソウルで開いた説明会で、性能のカギを握る回路線幅の微細化について記したロードマップを示した。新たな製造技術「EUV(極紫外線)露光」を使った7ナノ品を18年、その次の5ナノ品と4ナノ品をそれぞれ19年と20年に顧客から注文を受ける方針を伝えた。

 EUVは回路の形成工程を大幅に効率化でき、7ナノ未満の商用化は難しいとされた微細化を可能にする革新技術。サムスン幹部は「全面的に量産工程に採用するのは当社が世界初」と強調する。TSMCは19年に導入する計画を明かしている。

 サムスンやTSMCが受託生産する半導体は、あらゆるモノがネットにつながるIoTや人工知能(AI)の発達に欠かせない。技術面ではサムスンが先行する例が多く、売上高では受託生産市場で5割以上の世界シェアを握るTSMCが大きくリードする。

 同じ韓国の半導体大手SKハイニックスは、受託生産事業を分社化したと発表した。新会社は「SKハイニックスシステムIC」。自社製品と受託生産品の情報を厳密に分けて管理し、新規顧客の信頼を得たい考えだ。