米マイクロソフトは10日、業務ソフトの「オフィス365」と基本ソフト(OS)「ウィンドウズ10」を統合して提供すると発表した。同社は7月からの組織改編で、営業やサービス部門を中心に数千人規模を削減する計画も明らかにしている。組織・販売の両面で、従来のソフト単品販売から、クラウド化への転換を加速する。

新サービスは「マイクロソフト365」で、セキュリティー対策ソフトもセットにする。月額課金で、大企業向けと機能を抑えた中小企業向けの商品をそろえた。過去に蓄積したウィンドウズのユーザーを囲い込み、今後の収益の柱として力を入れるクラウド事業を拡大するのが狙いだ。

6日には、営業やサービス部門を組織改革し、世界で数千人規模のレイオフ(一時解雇)を検討していることも分かった。7月からの組織改編の一環でクラウド事業の強化を進めている。

10日に記者会見したサティア・ナデラ最高経営責任者(CEO)は「複数の製品を一括し、人工知能(AI)を導入する」と述べ、「インテリジェントクラウド」と呼ぶサービスの強化を訴えた。

法人向けのクラウド事業を強化するため同部門に人を寄せたり、分散していたチームを統合するなど、大規模な要員の異動を計画している。同社のクラウド事業は好調だが、アマゾン・ドット・コムやグーグルとの競争も激しくなっており、人員体制と販売の両輪で、クラウド化の加速を迫られている。

同社は、2015年には携帯電話部門を中心に最大で7800人を削減すると発表した。16年にも携帯電話部門などで4000人規模の削減に踏み切っている。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFK11H11_R10C17A7000000/