オシャレな街がずらりと並ぶ「住みたい街」に関するランキングをネットや雑誌などで目にすることは多いが、あえて「住みたくない街」をピックアップした本が注目されている。人気の街の思わぬ弱点にもズバズバ斬り込むことで、住む場所を選ぶ上で「逆に参考になる」ともいわれているのだ。(夕刊フジ)

 話題になっているのは『「東京Deep案内」が選ぶ首都圏住みたくない街』(駒草出版)。著者は首都圏の街のアンダーグラウンドな側面にスポットを当て、月間閲覧回数100万ヒットを記録するサイト『東京Deep案内』の管理人、逢坂(おうさか)まさよし氏と同サイト編集部で、500ページを超える大作だ。

 同書は冒頭で「住んでみたい」という声の多い街は基本的に不動産業者の思惑が介在しており、実用性がないと指摘。「住みたくない街」を見抜くことで、消去法的に「住みやすい街」を探すことができると説く。

 具体的には、利便性や治安などの参考指標をもとに、街を「似非セレブすぎて無理ゾーン」「通勤難民すぎて無理ゾーン」など7種類のゾーンに分類。1位から22位までの「絶対住みたくないランキング」を掲載している。驚くのは、17位に人気の街の常連、吉祥寺が入っていることだ。

 「甘すぎて無理ゾーン」に位置づけられる吉祥寺は、同書の表現を借りると《浮かれポンチの上京カッペと鼻に付くリア充が闊歩する人多すぎタウン》で、不動産業者のマーケティングに乗せられた人々で混雑し日常を過ごす街ではないと分析。《悪い事は言わないから三鷹か荻窪に住もう》とまで提言している。

「住みたくない」19位の二子玉川は「意識高すぎて無理ゾーン」で、《最近巷に湧き始めている「意識高い系」がこぞって集まる街》としている。

 「当書籍は(中略)独断と偏見で構成されておりますことをご了承の上」読んでほしいという「お願い」もみられるように、これまでなかった街選びの参考書であることは確かなようだ。逢坂氏に出版社を通じて取材を申し込んだが、媒体を問わず受け付けていないとのことだった。

 自身の住む街がどのように書かれているか、見たいような、見たくないような…。
http://www.sankei.com/life/news/170706/lif1707060027-n1.html