IT現場の最前線で働き続ける50代SEが増えている。55歳になるSCSKの舟野真樹氏は、データセンターの効率的な運用を考える企画業務に携わる。「先輩達を見ていて、50代はアドバイザー的なポジションになると思っていた」。かつての想像と異なる現在の仕事に驚きを隠せない。

舟野氏は入社以来、社内の情報システム部門、顧客へのシステム運用のコンサルティングなど様々な仕事を経験した。「システム運用の上流から下流まで経験した。経営層やスタッフ部門の考え方に深く触れることもできた」(舟野氏)。経験を活かして、50代になっても第一線から退くことなく現役SEとして仕事を続けている。

 現在の肩書きは「ITマネジメント事業部門 netXデータセンター事業本部 サービス基盤部 第二課 シニアプロフェッショナル サービスマネージャ」。組織を率いる「部長」や「課長」といったラインマネジャーではなく、システム運用ソリューションの専門技術職という立場だ。

急増する50代SE

 舟野氏のように現場で活躍する50代SEが急増している。IT企業の社員の年齢構成を見ると、そのワケは一目瞭然だ。

 IT企業(情報サービス産業)で働く人の年齢構成は20代と30代が減少し、40代と50代が増加する傾向にある。厚生労働省の賃金構造基本統計調査を元に、年齢構成を2006年、2011年、2016年で比較するグラフを作成したのが下のグラフだ。50代の急増と20代の急減が同時進行しているのがよく分かる。
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歴史の長い大手のSIベンダーはさらに極端に年齢構成になっている。50歳前後となるバブル期(1990年前後)の採用者が多く、就職氷河期(1990年代半ば〜2000年代半ば)の採用者が少ない。情報サービス産業全体の平均よりも50代の比率はさらに高く、全社員に占める50代の割合は2〜3割ほどになる。

 そして今、IT業界は人手不足に陥っている。採用による補充を急ぐが、労働人口の減少で新卒採用や中途採用では補いきれない。がぜん注目が集まっているのが、社内の50代SEの活性化だ。

50代が稼がないで誰が稼ぐ
 SCSKの小林良成 理事 人事グループ副グループ長は「かつては50代SEが相対的に少なかったこともあり、一線を引いたポジションに移ってもらうことが多かった。今は50代が当社社員の27%を占める。50代SEに収益に貢献してもらないと、会社として厳しい時代になっている」と話す。
以下ソース
http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/column/17/062200254/062900002/