トヨタ自動車(7203.T)は車載情報システムとして「オートモティブ・グレード・リナックス(AGL)」のプラットフォーム(基盤)を今夏後半に米国で発売するセダン「カムリ」に搭載する。

AGLプラットフォームの採用はトヨタ車として初めてで、今後、北米で投入するトヨタ車や高級車ブランド「レクサス」の多くの車両に順次搭載する予定だ。

AGLとは、自動車メーカーなどがコネクテッドカー(インターネットにつながる車)時代をにらみ、車載用基本ソフト(OS)の標準化などを進めてきた共同開発プロジェクト。カムリへの搭載については、AGLが31日明らかにした。

AGLは、コンピュータープログラムであるソースコードを無償で広く公開し、自由に改良や再配布ができるオープンソースソフトウエア「リナックス」がベース。
自動車メーカーはオープンなプラットフォームを共有することでコードが再利用でき、開発の期間短縮やコスト削減、プロセスの効率化が可能になる。

トヨタはAGLプラットフォームの採用により、新機能の開発に経営資源を投入したり、車載情報システムを多くの車により早く展開できるとみている。
同社の村田賢一・コネクテッド戦略企画グループ長は「新しいコードや機能の生成にもっとフォーカスすべきであり、過去の資産のメンテナンスを1次サプライヤーの間でバラバラにやっているという状況を避けるべきだと思う」と述べた。

AGLにはトヨタのほか、日産自動車(7201.T)、ホンダ(7267.T)、スバル(7270.T)、マツダ(7261.T)、スズキ(7269.T)、米フォード・モーター(F.N)など車メーカー10社が参画。
AGLを事実上の業界標準とした基盤づくりを目指し、車メーカーに加えてパナソニック(6752.T)やデンソー(6902.T)、ルネサス・エレクトロニクス(6723.T)、独コンチネンタル(CONG.DE)なども参加、計98社が名を連ねている。

コネクテッドカーのための車載用OSをめぐっては、スマートフォン向けOSの2強である米グーグル(GOOGL.O)や米アップル(AAPL.O)も先行して動いてきた。
グーグルは「アンドロイド・オート」、アップルは「カープレイ」を開発、両社はそれぞれのプラットフォームを構築して車載用OSの標準化を目指している。

AGLの普及を目指す団体「リナックス・ファウンデーション」のゼネラルマネジャー、ダン・コーチー氏は
「自動車メーカーは自分たちの一部がソフトウエアであることに気づき始めた」としたうえで、「プラットフォームをコントロールできないといけない。
プラットフォームはオープンでなければならない」と語った。

http://jp.reuters.com/article/toyota-camry-idJPKBN18R0U3