全国で750店を超えたコメダ珈琲店。長年にわたり定番メニューで展開していたが、最近は新たなスイーツメニューを相次いで投入している。なぜ期間限定の新作を投入するのか――。

名古屋発祥の喫茶店チェーン「コメダ珈琲店」の快進撃が続いている。最新の店舗数は754店(2017年5月24日現在)。筆者が同社の取材を始めた9年前、店舗数は335店(09年3月末時点)だったから、店舗数は2倍超になっている。業績も絶好調で、東証一部上場後の初決算となった2017年2月期は、売上高240億円(対前年比110%)、営業利益68億円(同105%)だった。

そのコメダは近年、新たなスイーツメニューに力を入れている。たとえば4月10日には「瀬戸内レモンケーキ」(430円。価格はいずれも税込み)と、ロールケーキ「きなこ日和」(280円)を投入した。いずれも販売期間は6月下旬まで。「春・初夏」の限定商品という。

また、小豆を使用した「小豆小町 アイス」というデザートドリンクも「葵」(ブレンドコーヒー+小豆+ミルク)、「桜」(紅茶+小豆+ミルク)、「菫(すみれ)」(小豆+ミルク)の3種類(各480円)で販売中だ(ただし一部店舗では価格が異なる)。

コーヒーを使わない新作を投入
さらに6月1日からは「ジェリコ『飲むとプリン』」(620円)を発売する。ジェリコは「ジェリー(ゼリー)」と「コーヒー」を組み合わせた商品で、2014年から夏季限定で販売している。そして今年はじめて、コーヒーを使わない新作を投入する。

なぜコメダは、すでに数多くの定番品を揃えているにもかかわらず、新しいスイーツメニューを増やしているのだろうか。

「新商品はほとんどが期間限定商品のため、『スイーツメニューを増やしている』という感覚はあまりありません」

コメダ珈琲店を運営する株式会社コメダの清水大樹氏(広報グループ課長)はこう前置きしながら、次のように話す。

 「もともとコメダは定番商品を大切にしてきました。でも1968年に創業してから、まもなく50周年を迎え、時代とともに消費者の嗜好も変わっています。そこで伝統を大切にしながら、近年は時代を見据えた新たな提案を『期間限定商品』という形でも行っているのです」

こうした活動を始めたのは2014年からだ。社内に「デザート改革プロジェクト」を立ち上げ、参加メンバーにFC(フランチャイズチェーン)店オーナーにも入ってもらい、季節のスイーツなど新たな商品を検討し始めた。

「コメダの流儀」を変えた理由
実は、コメダの総店舗数のうち約98%がFC店だ。長年にわたり、「コメダブランド」を支えてきたFC店の意向を無視して新商品を投入することはできない。

当初は「変わらずに、いつも同じ味の商品を提供し続けるのがコメダのやり方だ」「季節限定の商品はコメダにはなじまない」という反対意見も多かった。

 その流れが変わったのは「時代性」だった。日本の消費者の「舌」はどんどん肥えており、個別の店からインターネットでのお取り寄せまで、スイーツの種類も味も多様化した。昔ながらの定番商品だけでは新鮮味がないどころか、一歩間違えれば「古臭い」と思われてしまう。コメダが限定品中心とはいえ、新スイーツの続々投入に舵を切ったのは、こんな裏事情があった。

「春・初夏のケーキ、小豆小町のアイスドリンクといった商品に続き、今後、ジェリコやかき氷と続きますが、いまとなっては季節の風物詩になりつつあります。コメダらしい定番メニューに加え、『この季節ならではの楽しみ』を加えることで、お客さまに喜んでもらえればと思っています」(清水氏)
以下ソース
http://president.jp/articles/-/22172