https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-05-25/OQG5O06JIK0N01

伊藤小巻、Kathleen Chu
2017年5月25日 09:02 JST
更新日時 2017年5月25日 10:04 JST


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丸木強氏が率いるアクティビスト(物言う株主)ファンドのストラテジックキャピタルは、日本株投資で過去1年間のリターンが19.6%とTOPIXの14.3%を上回った。投資先に経営改善を働きかけた結果、目標まで株価が上昇。今年も4社に株主提案を送っているほか、麻生太郎財務相の親族経営会社が大株主となっている企業にも注目している。
  代表取締役の丸木氏は、企業がアクティビストを株主から追い出したければ、「株価を上げるか非上場化するかだ」と話す。実際、投資先の日本デジタル研究所(JDL)は昨年末、MBO(経営陣による企業買収)のため、当時の株価に約50%上乗せした株式公開買い付け(TOB)を実施。丸木氏はこれに応じ、4年程度保有した投資結果は内部収益率(IRR)で30%程度に達した。
  2月に売却した大和冷機工業も、提案を聞き入れてもらえなかったものの、「業績が少しずつ良くなり株価が自然に上がって目標株価に達した」という。

  今年の株主総会では、図書印刷、新日本空調、蝶理の3社に対して昨年から引き続き政策保有株の売却や増配を提案しているほか、新たに帝国電機製作所にも株主提案している。帝国電機製は3年前に工場建設費として約29億円増資したが、建設費を支払ってもこの約3年間で本業により現金が約32億円増えており、自己資本比率が約78%に上昇。丸木氏は配当性向100%や自社株買いを求めている。
  丸木氏にとって今年の「一番大きなターゲット」の図書印刷は、これまで保有するリクルート株を半分売却し、これまでの提案を一部聞き入れる姿勢を示してきた。同氏は「半分売ったのも大きな前進だが、もうちょっと進んでほしい」と要望。インターネット上での事業に軸足を移すリクルート株を保有していても、売り上げ拡大への寄与は低いことから、完全売却した資金でリストラや株主還元に充当することを求めている。
  丸木氏は野村証券出身で、99年に旧通産省OBの村上世彰氏率いる村上ファンドの設立・運営に参画。06年に村上氏がインサイダー取引で 逮捕された後、ファンドの解約手続きを指揮した。
麻生銘柄
  ストラテジックキャピタルは1月、日特建設株を5.01%保有したとの大量保有報告を提出した。同社は麻生大臣のおいが経営する麻生グループが筆頭株主。丸木氏は投資理由について「麻生大臣はコーポレートガバナンス(企業統治)が重要と言っており、率先してやってくれるのではないか」と述べた。

  日特建設が9日発表した中期経営計画では「配当性向30%以上かつ総還元性向50%以上」を経営目標に掲げ、その後株価は約2割上昇している。また社外取締役の増員や取締役会の自己評価なども発表しガバナンス改善も進めており、「全部要望したことはやってくれた」と評価し、今年は株主提案しないものの、さらなる改善を期待している。
  ストラテジックキャピタルは今後、海外のファミリーオフィス、基金・財団など長期投資家からの資金獲得も狙い、運用資産を1年間で現在の約3倍の約3億ドル(約330億円)を目指す。
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