http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS23H2O_T20C17A5EE8000/
2017/5/23 20:53
 農業の成長産業化のカギを握る農地の集約が伸び悩んでいる。
農林水産省が23日公表した農地を意欲ある担い手に貸し出す「農地バンク(農地中間管理機構)」の利用実績によると、
2016年度は約4万3000ヘクタールと、15年度に比べて4割減った。借り手の要求水準に見合う農地が少ないのが理由とみられる。
 14年設立の農地バンクは、点在する耕作放棄地などの所有者から農地を借り入れて集約し、大規模農家に貸し出す仕組み。
1戸あたりの耕作面積が広がれば生産コストが下がり、農産物輸出など「攻め」に向けた後押しになる。
 15年度の利用実績は約7万6000ヘクタールで、14年度の3倍だったが、16年度になって急ブレーキがかかった。
「貸し借りが成立しやすい案件が一巡した」(農水省幹部)という面も大きいが、
高齢農家の耕作依頼を断った大規模農家に農水省が理由を尋ねたところ「区画が狭いか未整備」との回答が7割に達した。
 農水省が23日、首相官邸で開かれた農林水産業・地域の活力創造本部に農地バンクの進捗状況を報告。
同本部では林業でも意欲ある担い手に集約するしくみの創設や、有効な水産資源の管理方法を探る方針を決めた。