生命保険協会の根岸秋男会長(明治安田生命保険社長)は21日の定例記者会見で、日銀の異次元緩和政策による国内の低金利環境の長期化が予想されることについて「運用面でボディーブローのように効いてくる」と語り、生保業界の運用難などの苦境が続くことの懸念を示した。

 根岸会長は「各社が取り入れているALM(資産・負債の総合管理)の効果で低金利の短期的な運用への影響はない」と述べたものの、長期的には「(保険商品の新規契約分の資金や債券などの償還金といった)ニューマネーの資産配分が課題となる」とした。「利回りの低い日本国債は買いにくく、運用の高度化・多様化を進めないといけない」として、社債などよりリスクの高い商品の投資を拡大する必要性を指摘した。

 足元の円高基調について根岸会長は「(北朝鮮・シリア問題や欧州の政治情勢への警戒といった)地政学リスクから円が買われやすい」としつつ、経済成長による米金利の上昇と国内金利の低位継続によって「日米金利差が徐々に拡大し、円安・ドル高に向かっていく」との見方を示した。

 同協会は同日、新会長に橋本雅博住友生命保険社長を充てる人事を発表した。7月21日の理事会で選任する。〔日経QUICKニュース(NQN)〕


2017/4/21 16:08
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFL21HWJ_R20C17A4000000/