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[東京 19日 ロイター] - パナソニック(6752.T)の技術部門を率いる宮部義幸専務は19日、研究開発(R&D)戦略説明会を開き、現在約100人程度の人工知能(AI)領域の技術者を5年以内に1000人規模に増やす計画を明らかにした。

実現に向け、社内育成や新卒採用を強化するほか、関連企業のM&A(合併・買収)も検討する。幅広い製品・サービスへの活用が予想されるAIを強化し、単純に「モノを売る」ビジネスモデルからサービスも含めた付加価値の高い事業構造への転換を図る。

宮部専務は「3年後に現状の2─3倍の300人規模の専門家を育てる、あるいは獲得していくと(以前)言ったが、この300人が核になって5年以内に1000人規模に技術者を増やしていく」と指摘。「海外では(AI)技術を持った開発会社のM&Aも検討していきたい」と語った。

同社は「モノ売り」から脱却し、サービス中心の事業創出を推進するために4月1日付で「ビジネスイノベーション本部」を新設。宮部専務を支える副本部長にはSAPジャパンのバイスプレジデント・チーフイノベーションオフィサーだった馬場渉氏が就任した。

シリコンバレーを拠点にする馬場氏は「多くのシリコンバレーのやり方は日本の大企業に合わないが、ユーザーエクスペリエンス(顧客体験)とデザインシンキングに関しては必ず大企業にも適用できる」と述べ、「なぜシリコンバレーはいまも強いのかという考え方をパナソニック全社に適用すれば貢献できる」と抱負を語った。

馬場氏は北米子会社「パナソニックノースアメリカ」の副社長も兼務する。

ビジネスイノベーション本部は、あらゆるものがインターネットにつながるIoT(インターネット・オブ・シングス)やAIなどを活用した新事業の創出をめざす。宮部専務は「数百億円規模以上のビジネスになるものを全社プロジェクトとしていきたい」と意欲を示した。近く2つのプロジェクトを立ち上げることを明らかにしたが、詳しい言及は避けた。宮部専務は「いずれも従来はハードウェアを私たちが販売していた領域だが、(新プロジェクトは)ハードウェアを私たちが所有したままで、そのハードウェアを使って何らかの便益をお客様に与えるものだ」と語った。

(志田義寧)

2017年 4月 19日 6:07 PM JST