ISDで勝訴のイラン企業、韓国政府の資産仮差し押さえ手続き 記事入力 : 2019/02/19 23:09

 韓国政府を相手取った投資家・国家間訴訟(ISD)で勝訴したイランのダヤニファミリーが、
オランダの裁判所を通じ、韓国政府の資産を差し押さえる手続きに入ったことが19日までに分かった。
ISDで韓国政府の資産に対する仮差し押さえ手続きが行われたのは初めてだ。ただし韓国政府は、
仮差し押さえ手続きが進められたとしても強制執行(差し押さえ)の可能性は高くないとみている。

 韓国政府と金融業界が19日に明らかにしたところによると、オランダのロッテルダム地裁は最近、
ダヤニファミリーが韓国政府を相手取って起こした資産仮差し押さえの申し立てを認めた。
仮差し押さえの対象は、オランダに進出している韓国企業が韓国政府に対して負っている債務だ。
対象企業はサムスン、LG、ウリィ銀行、ハナ銀行などだという。
韓国政府の関係者は「ダヤニ側が債権確保のために、
仮差し押さえの申し立てを含むさまざまな方法で動いていると聞いている」と話した。

 ダヤニファミリーは、イランの家電メーカー「エンテックハブ」を所有しており、
2010年に大宇エレクトロニクスの買収をめぐって優先交渉対象者に選ばれたが、
その後債権団から契約を解除された。ダヤニファミリーはこの過程で
韓国政府による違法な介入があったとしてISDに提訴。ISDの裁判所は昨年、
韓国政府に対し、ダヤニファミリーに730億ウォン(約73億円)を返還するよう命じた。

 韓国政府はその後、ISDの取り消しを求めて英国の裁判所に提訴。
英国の裁判所が韓国政府勝訴の判決を下せば、ISDの決定に伴う賠償責任を履行しなくともよい。
韓国政府がISDの決定を受け入れなかったため、
ダヤニ一族が仮差し押さえを申し立てるという形で報復に出たのだ。

 ただし韓国政府は、今回の仮差し押さえの決定には大きな意味はないとみている。
金融委の関係者は「仮差し押さえ対象の債権があるのか現段階では不明確で、
政府の財産に対する強制執行は可能性が高くないとみている」として「実質的な措置というより、
宣言的な意味合いだとみて、英国で進行中のISD取り消し訴訟に万全を期す計画」と話した。

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