2018/10/18 07:00文春オンライン

「数多く回ればいいってもんじゃないでしょ。スタンプラリーじゃないんだから……」

 外務省関係者がこう嘆息するのは河野太郎外相(55)だ。10月12日に東ティモールを訪れ14日にはニュージーランドへ、18日からはアイスランドとデンマークを訪問予定とまさに世界中を飛び回る。

「昨年8月の就任以降訪問した国・地域はこれで55に。前任の岸田文雄氏が4年半強で51でも相当多いと言われたのに、段違いのペースです。英語は永田町一の実力で通訳もいらないほどだと言われている」(政治部デスク)

 だが外相として高評価かというと、決してそうではないようだ。外務省職員からは嘆き節が聞こえてくる。

「特に小国では河野外相の受け入れ態勢を整えるのが非常に大変です。限られた人員で、ロジを整え、国王などとの面会もセットする。その訪問に戦略的な意図が見えるならばまだ頑張り甲斐があるのですが、どうもそうは思えない。今まで日本の外相が行ったことのない国に行き、仲よく顔合わせをすることが無意味とまでは言いませんが……」

 外交ジャーナリストが語る。

「意外に問題発言も多い。昨秋の米コロンビア大学での講演で『世界の160カ国以上が北朝鮮と外交関係を結んでいる。我々は彼らに対し、北朝鮮との外交的・経済的な関係を断つよう求めなければならない』と言いましたが、
現職外相が他国に『断交』を呼びかけるなど、前代未聞です。6月の講演でも『核ミサイル問題を解決した後、拉致問題を解決する』と発言して、『包活的解決』の政府方針との矛盾を露呈しました。総じて発言が軽すぎるのですが、なまじ発信力があるだけに官邸も扱いあぐねています」

 さらにメディアとの関係も、微妙だと言う。

「代々、外相の外遊にはNHK、共同、読売、朝日の4社が必ず日本から随行してきました。岸田外相時代に朝日が外れ、さらに河野外相になって余りに多くの国を訪問し、しかもさほど重要な中身がないので、読売と共同も脱落。
先日の外遊はNHKのみでした。霞クラブ(外務省担当)の記者は英語ができない、とか、政局か北朝鮮絡みの質問ばかりだと河野氏は怒っており、メディアとの関係も悪化しています」(前出・デスク)

 かつて外務省を無駄遣いが多い「害務省」と猛批判していた河野氏。バトルの第2ラウンドの行方はいかに?

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2018年10月25日号)
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