2018年8月20日 17時31分
 体操着のシャツの裾は、ズボンから出した方が涼しい――。感覚的には当たり前だが、今月3〜5日に群馬県高崎市で行われた理科教育の研究会で、これを「科学的」に実証した発表があった。

 発表者は、前橋市内の中学校で理科を教える富田尚道教諭(61)。6〜7月に複数回、シャツの裾をズボンから出した場合(アウト)と入れた場合(イン)に分け、
運動後の生徒たちの胴体付近の温度を調べた。温度の違いの調査には、温度分布を色で示すサーモグラフィーカメラを使った。

 その結果、アウトの状態で屋外運動を終えた2分後の温度は29〜30度前後で、インの生徒よりも最大で4度ほど低かった。体育館での運動1分後の比較でも、アウトの方が最大5度程度低かった。実験の動画は、投稿サイト「ユーチューブ」でも公開している。

 「裾を出せば風通しが良くなり、熱を逃がしやすい。アウトの効果は大きい」と、富田教諭は話す。

 ただ、体育の授業や部活動では、けが防止やマナー上の観点から、シャツの裾はズボンに入れるよう指導するのが一般的だ。たとえば、県中学校体育連盟ソフトテニス部は、
大会出場規定で「シャツの裾を出さない、袖まくりをしない」などとしている。教育現場も猛暑による熱中症を警戒しているものの、簡単にはシャツのアウトを推奨できないようだ。

 富田教諭は「悩ましいが、実験結果は、教諭らが気象条件に応じて判断する際の参考にしてもらえたらいい」と話している。

https://www.yomiuri.co.jp/science/20180820-OYT1T50061.html