自動車整備用・産業用機器の製造販売「ビック・ツール」(鳥取県日吉津村)が、世界特許の独自技術を用いた医療用ドリルの量産や研究開発を進めるため、本社工場を増設することになり、25日、支援する県、同村と協定を締結した。

 同社の特許技術製品「月光ドリル」は、先端部に小さな三日月形の刃先を付けた独自形状で、切れ味が鋭く穴を開ける部材への食いつきも良い。このため、骨折の治療で、骨に斜め方向の穴を開ける際に刃先が滑りにくい。また、真円形に穴が開くため摩擦熱が少なく、骨の壊死(えし)につながる高温の発熱を防げる。

 昨年12月、整形外科用の月光ドリル800本を初出荷し、今年3月末までに240症例で使用。医師に好評で、内外メーカーからの引き合いも相次いでおり、製造ラインを増設、量産に踏み切ることにした。

 約3億2千万円を投資し、本社工場に加工・測定装置、研究用加工機などを導入。整形外科用ドリルを平成31年に年間20万本へ増産するほか、インプラントに使う歯科医療用ドリルの研究開発を進める。

 さらに、機械加工用ドリルの生産を28年実績の1万2千本から、31年には70万本まで引き上げる。協定に基づき、投資額のうち1億2千万円を県が助成する。

 知事公邸で行われた協定の調印式で、同社の新井高一社長は「月光ドリルはすごい技術だと自負しており、世界に向けて発信したい」と話した。

http://www.sankei.com/west/news/170426/wst1704260030-s1.html
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