日本を訪れる観光客が増える中、外国人が病気やけがで診療を受けた際、診療費が未払いになるトラブルが平成27年度までの3年間に北海道内の28の医療機関で起きていたことが、北海道運輸局の調査でわかりました。
運輸局は、外国人観光客に保険への加入を呼びかけるなどの対策が必要だと指摘しています。

北海道運輸局は、去年秋、北海道内の1000余りの病院や診療所を対象に外国人観光客の受け入れ体制についてアンケート調査を行い、585の施設から回答を得ました。

それによりますと、平成27年度までの3年間に外国人の患者を受け入れたことがあると答えたのは全体のおよそ67%にあたる390の医療機関でした。
このうち、患者から診療費が支払われないことがあったかどうか尋ねたところ、28の医療機関が、未払いがあったと答えました。

これらの医療機関によりますと、未払いのトラブルは保険に加入していない患者に多く、入院中に抜け出してそのまま帰国したり、帰国後に支払うとしながら、その後、連絡が取れなくなったりするケースがあったということです。
また、未払いの金額は、1回で数百万円に上るケースもあったということです。

一方、外国人患者の受け入れにあたって必要なものを尋ねたところ、医療の知識を持った通訳の派遣サービスが最も多く、次いで、外国人向けの医療保険の充実が挙げられました。
北海道運輸局は「外国人観光客の3割が保険に入っていないとも言われる。未払いを減らすには、保険への加入を呼びかけることや、クレジットカードで診療費を支払えるようにするなどの対策が必要になる」と指摘しています。

<病院ではクレジットカード払いで未払い防止>

札幌市の総合病院、札幌東徳洲会病院では去年11月、観光で北海道を訪れていたマレーシア人の女性が心臓の調子が悪いと訴え、救急搬送されてきました。
女性は慢性心不全の疑いと診断され、1週間ほど入院しましたが、退院する直前に費用を支払わないまま突然、姿を消し、その後、帰国していることがわかりました。

未払いの診療費はおよそ66万円に上り、病院は、本人に連絡を取ろうと電話をしたり、督促状を郵送したりしていますが、今も支払われていないということです。
このトラブルをきっかけに、病院は、外国人患者には原則、クレジットカードで支払ってもらうことにして、患者一人一人に、カードを持っているか確認するようにしました。

また、入院が必要になった場合、これまでは退院の際にまとめて費用を請求していましたが、1週間ごとに支払いを求める方法に変え、こうした対策で、その後は未払いは起きていないということです。

(記事元は消えやすいです)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170426/k10010961651000.html?utm_int=news-new_contents_list-items_004