2017年09月03日 06時00分

 地方移住に関心を寄せる首都圏の男女に出会いの場を提供し、九州に移住してもらう−。そんな婚活支援のイベントを九州全県が初めて手を組んで11月に東京で開く。少子高齢化に悩む各自治体には、地元での婚活支援に比べ、直接の定住人口増が期待できるという計算がある。“官製婚活”に詳しい専門家は「広範囲に連携し、首都圏から地方にカップルを移住させるという取り組みは全国的にも珍しい」と話す。

 九州7県と沖縄、山口両県が主催。首都圏在住で九州に関心がある20〜30代の独身者の参加を募る。運営は結婚仲介大手「ツヴァイ」に委託する。11月12日、東京・渋谷で開催するイベントでは、九州の名物料理を用意し、地域の魅力を知るワークショップを通して男女に交流してもらう。定員180人、事業費約340万円は各県で分担する。

 九州7県の人口(2015年、国勢調査)は、05年比で2・5%減少。全国(0・5%減)を上回る人口減が進む。一方、政府の14年の調査では、都内に暮らす男女の4割が地方移住を検討。若年層を中心に、子育てに適した自然環境を求める傾向も広がる。各県はこうした事情を背景に、婚活と移住支援の相乗効果を狙う。

 事務局を務める佐賀県こども未来課の陣内清副課長は「九州は自然豊かで、首都圏と比べると保育所に入りやすい、通勤時間が短い、住居費も安く抑えられるなど子育てする上でメリットが多い。その魅力を伝えたい」と話す。

 自治体の結婚支援に詳しいNPO法人「全国地域結婚支援センター」(東京)板本洋子代表は「出会いの場の提供だけでなく、就労先の確保など移住後の生活をイメージできるような支援の充実も大事」と話した。

=2017/09/03付 西日本新聞朝刊=

https://www.nishinippon.co.jp/nnp/national/article/355635/