0001フリーザ ★
2017/05/01(月) 23:10:22.21ID:CAP_USER猫好きな方なら猫を撫でた時の手触りがありありと思う浮かぶだろう。筆者が実家で何十年も前に飼っていた猫のことを思い出すとき、真っ先に浮かんでくるのは頭から背中、尻尾にかけてすーっと撫でた時の感触だ。
あの至福の感触を呼び起こしてくれるような絵画を生み出す画家がいると聞いた。市来功成さんという画家である。大阪・心斎橋の大丸心斎橋店で市来功成さんの個展である「市来功成 絵画展」が開催されていると知り、作品をこの目で見に行くことにした。
■毛の一本一本に命が宿っているかのよう
「市来功成 絵画展」は大丸心斎橋店の北館12階にある美術画廊で2017年4月26日から5月2日まで開催されている。新作およそ30点を展示する展覧会で、そのすべてが猫を描いた作品となっている。
市来功成さんの絵画の大きな特徴はなんといってもその画法にある。クレヨンをメインの画材（作品に応じてパステルや水彩絵の具も使うという）に使用し、塗り重ねたクレヨンの表面を針で削る「スクラッチ」という画法で描いている。筆者が幼稚園で教えてもらった記憶があるのが、まず赤や黄などの明るい色のクレヨンで画用紙を塗り、最後に黒で全体を塗りつぶす。そして割り箸の先など、尖ったもので表面の黒色を削っていくと、まるで夜空に浮かんだ花火のような色彩が浮かび上がる、というもの。市来功成さんの画法も原理としてはその延長にあるのだが、その繊細さはまさに“神技”と表現したくなるほど。
絵に近づいて見ると、猫の毛の一本一本が「これぞ猫の毛だ」としか言いようのない存在感で描かれているのがわかる。そしてその集積が、一匹の猫が本当に目の前に佇んでいるような圧倒的なリアリティを生み出しているのだ。
どの作品の中の猫もあくまで日常の中のワンシーンを切り取ったような自然な動きをしているのだが、その自然なポーズが、猫という生き物のもつ愛くるしさを改めて感じさせてくれる。
■「野良猫」の生命力が創作の源泉
市来功成さんにお話を伺うと、会場に並んだ作品の中でも特に黒猫は描くのが難しいという。遠目から見ると単色のように見えるが、実際に近づいてみると気の遠くなるような細かいニュアンスの色の違いが表現されているのがわかる。
市来さんは「写真を超えないと意味がないと思っています。そうでなければ写真でいいということになってしまいますから（笑）絵画だからこそできる表現を追求したいですね」と語る。公式サイトでは、猫、犬を始めとしたペットの肖像画を制作依頼も受け付けているが、まるで本当に生命が宿ったかのような作品がペットの飼い主に好評なのだという。
もともとは広告業界に携わり、イラストレーターとして様々なタッチの作品を制作してきたという市来さん。動物たちの中でも特に猫が好き過ぎて、気づけば猫ばかり描くようになっていた。作品を制作する上で特にインスピレーションを受けるのは町を颯爽と行く野良猫たちだとか。
「もちろん家猫も可愛いですけど、野良猫には違った魅力があるんです。表情が豊かで強い生命力を感じます。どの表情もどの仕草も絵になるんですよね。いつもカメラを持って撮影しながら散歩しています」
「人間の髪の毛でも、例えば頭に雨粒がポツッと落ちて来たなっていう感覚がわかるじゃないですか？ 猫ももちろんそうで、毛の1本1本がセンサーなんですよ。命が宿っているんですよね」と言う市来さんの言葉が印象的だった。作品の中の猫の毛並みがリアル過ぎて「毛をそのまま貼りつけているんですか？」と聞くお客さんもいるのだとか。
【展示情報】
「市来功成 絵画展」
会場：大阪府大阪市中央区心斎橋筋1-7-1大丸心斎橋店 北館12階 美術画廊（入場無料）
開催期間：2017年4月26日〜5月2日
営業時間：10：00〜20：30（最終日は17時閉場）
以下ソース：http://www.zakzak.co.jp/zakjyo/watcher/news/20170501/wat1705011820003-n1.htm（zakzak）
