11/15(金) 1:00配信
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 福井県勝山市にある白亜紀前期の地層(約1億2000万年前)で2013年に見つかった鳥のほぼ全身の骨格化石について、福井県立大恐竜学研究所などは14日、新種と確認されたと発表した。ドイツで見つかったジュラ紀後期の「始祖鳥」(約1億5000万年前)よりは新しいが国内では最古で、専門家は「鳥の進化を知る上で貴重な発見」としている。

【新種「フクイプテリクス・プリマ」の生体復元図】
https://mainichi.jp/graphs/20191115/mpj/00m/040/001000f/2?inb=ys

 論文が英科学雑誌「コミュニケーションズ・バイオロジー」(電子版)で15日に公開された。学名は「フクイプテリクス・プリマ」。「福井」にラテン語で「翼」を意味する「プテリクス」と「原始的」を意味する「プリマ」を加えた。

 化石が見つかったのは13年8月。四肢骨や肋骨(ろっこつ)など、100個以上の骨が岩石の中で立体的に保存されていた。県立大などのチームがCTスキャンなどを活用して調べたところ、鳥の尾羽の根元近くにある「尾端骨(びたんこつ)」に突起物があるなど、他の鳥類化石にない特徴が判明。新種と断定する決め手となった。

 骨組織の分析から、化石は1歳未満の若い個体とみられ、翼を広げると約50センチの大きさで、羽ばたきは得意ではなかったと推測される。チームは、ニワトリのように地上で羽ばたきをしていたか、グライダーのような滑空飛行をしていた可能性があるとみている。

 論文の筆頭著者で県立大恐竜学研究所の今井拓哉助教(恐竜学)は「白亜紀前期の鳥類の化石は9割以上が中国東北部で発見されており、進化や生態を理解するうえで、他の地域で見つかった意義は大きい。特徴的な尾端骨の一方、3本に分かれた指など恐竜との共通点が多くみられるのも興味深い」と話している。

 化石は15日から県立恐竜博物館(勝山市)で展示される。【大森治幸】