“水中で音を出す”ゴカイが本当にいた…世界初の発見は偶然の産物だった(記事全文は、ソースをご覧ください。)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190711-00010007-fnnprimev-sctch
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2019/7/11(木) 17:30配信
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(写真)FNN ONLINE

・日本で世界初の発見
クジラが遠く離れた仲間とコミュニケーションを取る際に出す鳴き声に代表されるように、海の生物たちが水中で音を発することは知られているが、日本で世界初となる“発見”が最近あったことをご存じだろうか。

【画像】ゴカイはどこで音を出す? 詳しい図解はこちら
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これまで、環形動物などの体の大部分が柔らかい構造からなる動物では、音を出すものは知られていなかったが、ゴカイの一種の「キムラハナカゴオトヒメゴカイ」という生物が、音を出すことを発見したというのだ。
その動画があるので耳を澄ましながら見てほしい。

7秒の短い動画だが、2体の見慣れない生物が体を寄せ合っていて、体がぶつかったように見える瞬間にはっきりと「パキッ」という音が聞こえる。

発見者の京都大学の後藤龍太郎助教と串本海中公園(和歌山県)主任学芸員・平林勲さんによると、「キムラハナカゴオトヒメゴカイ」は、縄張りを争う際に口を寄せ合う習性があり、その攻撃の際に音を発することを水槽内の観察で発見し、水中マイクロホンを使って録音を行ったという。

環形動物とは、体が細長く、環状の体節を持つ動物のことでゴカイのほか、ミミズやヒルなども含むが、音を出す種の発見は世界初とのことだ。

映像だとぶつかったときの音ではないかという疑問もあるので、このゴカイがどのようなメカニズムで音を出すのか。またこの大きな発見に至った経緯は何なのか。後藤さんと平林さんに詳しい話を聞いた。

・発見は偶然の産物だった
ーー「キムラハナカゴオトヒメゴカイ」はどんな生物?

京都大学 後藤さん:
キムラハナカゴオトヒメゴカイ(学名:Leocratides kimuraorum)は、オトヒメゴカイ科に属する、体長約2cmの多毛類となります。体の前端部についた丸い口と、半透明の体から生える長い触手が特徴的です。

日本の太平洋沿岸に生息し、タコアシカイメン科に属する海綿の内部で暮らす習性を持ちます。

ーーこれまで誰も発見できなかったのはなぜ?
■■略
ーーこの発見に至った経緯は?
■■略

“マウスアタック”で発生する音では
ーーゴカイの出す音は、陸上だとどれほどの大きさ?

後藤さん:
水中と陸上の音を直接比較することは難しいですが、人が指を鳴らすくらいの音で聞こえます。

ーーゴカイが音を出す仕組みを現在判明している範囲で教えて?

後藤さん:
ゴカイ同士が口を寄せ合って争う際、「咽頭」と呼ばれる、口の後方に伸びる筒状の筋肉質の器官が、マウスアタック(口部で相手を弾き飛ばす高速攻撃)の直前に細くなります。そして、攻撃の瞬間、一気に膨張していることが明らかとなっています。

この瞬間的な形態変化が咽頭内にキャビテーション(流体中で圧力差により短時間に気泡の発生・消滅が起きる現象)を起こし、気泡が消える際に音を出しているのではないかと、現時点で推測しています。

ただし、音が実際どのように出ているかを明らかにするためには、さらに詳しい検証が必要です。

ーー縄張り争い以外に音を出すケースはありそう?

■■略

ぶつかった音ではなく、マウスアタックの際に出す音ということだったが、音を出す仕組みについてはまだまだ研究が必要だという。
偶然の産物から生まれたという発見だが、いきものの世界は知れば知るほど奥深い。

画像・動画提供:後藤龍太郎(京都大学)・平林勲(串本海中公園)