バイオベンチャーのサンバイオ(本社・東京)は、幹細胞を用いて、けがで傷ついた脳の神経組織の修復を図る再生医療の治験で、体を動かす機能の改善を確認したと明らかにした。再生医療製品としての製造販売承認を目指し、来年1月までに厚生労働省に申請する予定だ。

 米国で4月にあった米国脳神経外科学会で発表した。健康な人から採取した骨髄液から、骨や血管などになる能力がある「間葉系幹細胞」を取り出して大量に培養、細胞薬として再生医療製品にする。これを患者の損傷部のそばに注射で移植する。幹細胞が脳内の神経細胞の再生を助け、運動機能の改善につながると、同社は説明する。

 治験は日米の慢性期の外傷性脳損傷の61人で実施。細胞を移植した46人と、移植しなかった15人を比較した。手足を動かすといった運動機能を評価する指標では、移植したグループは平均で8・7ポイント改善。移植していないグループも2・4ポイント改善したが、同社は「統計学的に有意な差が確認できた」とした。

 移植した全員に頭痛などが起きたが、90%以上は細胞薬と関連がなかったとみられることから、同社は、安全性の懸念は認められなかったとした。他人由来でも間葉系幹細胞は基本的に拒絶反応が起きないという。

https://www.asahicom.jp/articles/images/AS20190507002555_commL.jpg

朝日新聞デジタル
https://www.asahi.com/articles/ASM5752BGM57ULBJ00R.html