中国の研究チームが、光子を使った量子スケールの「ニュートンのゆりかご」を作成した。このゆりかごは、ノイズを混ぜることでエネルギー伝達効率が向上するという不思議な性質を持っており、光合成や臭いの検出など生命体におけるエネルギー伝達の仕組みを解明するのに役立つと見られている。

エネルギー保存と運動量保存の法則を実演するのによく使用されるのは、一連の球が互いに接するように吊るされた「ニュートンのゆりかご」という装置だ。現在よく見られるような装置はおそらく1960年代に考案され、その後オフィス・トイとして販売されることになった。とはいえ、ニュートンをはじめとする17世紀の学者たちは、すでにその背後にある物理学に精通していた。

エネルギー保存則と運動量保存則は普遍的な法則であり、宇宙論的なスケールでも人間のスケールでも同じように成立する。また、これらの法則は、原子や亜原子粒子のスケールにおいても適用できるが、この場合は奇妙な量子力学の法則の影響を受けることになる。

ここで興味深い疑問が生じる。光子などの亜原子粒子を用いて、量子スケールのニュートンのゆりかごを作ることは可能なのだろうか。

中国の上海交通大学のジェン・フェンと同僚らによる研究により、1つの答えが得られている。ジェンらの物理学者から成る研究チームは、光子を用いてニュートンのゆりかごを作成した。同研究チームによると、この装置に関与する物理現象が、光合成や匂いの検出などの十分に理解されていない自然界のさまざまなエネルギー伝達過程を解明するのに役立つ可能性があるという。

https://www.technologyreview.jp/s/125447/how-a-newtons-cradle-for-photons-could-reveal-the-secrets-of-photosynthesis/