食べられると思ったら、有毒だった――。山菜採りシーズンを迎え、有毒植物による食中毒に注意するよう国や福井県が呼びかけている。福井市では勘違いしてスイセンの葉や球根をカレーの具にして食べた一家が食中毒を起こしたケースもある。

発生したのは4月14日。自宅近くに自生していたスイセンの葉がニラに、球根がタマネギに似ていたことから食べられると思い込み、カレーの具にした。吐き気や嘔吐(おうと)の症状が出て2人が市内の病院を受診し、うち10代の女性が1晩入院した。

 福井市保健企画課によると、スイセンの葉や球根には有毒なアルカロイドが含まれ、30分以内に吐き気や嘔吐、頭痛などの症状が表れる。葉をもんだり切ったりした際、ニラは強い刺激臭があるのに対し、スイセンは弱く青臭いにおいがする。葉の先端の断面がニラは扁平(へんぺい)で、スイセンはV字形といった違いもある。

 有毒植物による食中毒は、厚生労働省によると、全国では2009年〜18年の10年間に計176件発生し、患者は780人に上った。件数はスイセンが原因と見られるのが最多で48件。患者数は180人だった。

 他に、ギョウジャニンニクに似たイヌサフランによるものやニリンソウに間違いやすいトリカブトによるものもあり、これらはいずれも死者が出ている。

 食用と確実に判断できない植物は採ったり食べたりしないことが鉄則だ。売ったり、人に渡したりすると、被害が広がるおそれもある。福井市保健企画課は「山菜採りをする際は有毒なものが交ざらないよう、1本1本をよく確認し、調理前に再度確認することが重要だ」としている。

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朝日新聞デジタル
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