■「海洋熱波」が生物多様性を脅かす、経済や災害に影響も、最新研究

 強烈な熱波は人間の健康を脅かし、場合によっては致命的な脱水症状や脳卒中を引き起こす。そして、地上での極端な高温と同様に、海の熱波もそこで暮らす生きものに多大な影響を及ぼす。

 学術誌「Nature Climate Change」に3月4日付けで発表された論文によると、過去30年の間に、海洋熱波が発生する回数が大幅に増加しており、生物多様性に与える打撃の大きさが明らかになりつつあるという。
 海洋熱波とは、特定の海域の表面水温が極めて高い日が続く現象だ。過去30年間に世界で海洋熱波が発生した日数は、以前の同期間と比べて54パーセント増え、この傾向が海の生きものの減少と重なることがわかった。

 2014〜2016年にかけて米西海岸沖に居座った「ブロブ(The Blob)」をはじめ、世間の注目を集めた有名な熱波も、今回の研究の対象となっている。無脊椎動物から海洋哺乳類まで、ブロブはたくさんの生きものを死に至らしめた巨大な熱波だった。

■地球規模での影響は

 海洋熱波が世界の海の生きものをどのように変えているのかを地球規模で把握するために、論文の著者で生態学者のダニエル・スメール氏らは、過去に発表された論文116本を調べ、1000を超える生態系の記録からデータを収集した。先行研究をなぞり、海洋熱波は5日間以上にわたって海水温が異常に高くなる現象と定義された。

 チームは次に、既存のデータを利用して、特定の海域における生物多様性の総量を測定した。とくに気がかりだったのは、生物多様性が極めて高い海域で、過去に熱波が発生したケースだった。そうした海域では、生物が被害を受けたり、死滅したりして、周辺の生態系に被害が加速度的に広がるリスクが高いからだ。

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