沖縄などの海で生息するサンゴは、体内で共生する藻類の「褐虫藻(かっちゅうそう)」が光合成で作り出した栄養で生きている。だが、動けないサンゴが海中を泳ぐ褐虫藻とどうやって出合うかは謎だった。基礎生物学研究所(愛知県岡崎市)などの研究グループはサンゴが緑色に光り、褐虫藻を誘い込んでいたと発表した。22日以降、米国科学アカデミー紀要に掲載される。

 研究グループの相原悠介研究員(生理学)らは、サンゴが紫外線や青色光を浴びると体内で緑色に光る緑色蛍光たんぱく質(GFP)に着目した。生きたサンゴと死んだサンゴに青い光を当てると、褐虫藻は緑色に光る生きたサンゴに集まった。だが、GFPが含まれていない死んだサンゴには集まらなかった。

 サンゴではなく市販の緑色蛍光ペイントを塗ったプラスチック片にも褐虫藻は引き寄せられたという。

 大部分のサンゴは孵化(ふか)後、成長する過程で褐虫藻を取り込むが、体内から褐虫藻が失われると白化し、やがて死滅する。海水温の上昇でサンゴの白化や死滅が世界各地で問題になっており、今回の発見がサンゴの回復に役立つ可能性があるという。

 研究グループの高橋俊一准教授(生理学)は「サンゴは明るく光るほど、生存率や環境適応力が高くなると予想される。研究を積み重ねれば、サンゴ保護にも役立つかもしれない」と話した。

■青色光を受けて緑色に光るサンゴ=基礎生物学研究所提供
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緑色の蛍光ペイントにも、褐虫藻が集まった=基礎生物学研究所提供
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緑色の蛍光ペイントにも、褐虫藻が集まった=基礎生物学研究所提供
https://www.asahicom.jp/articles/images/AS20190122000662_commL.jpg

朝日新聞デジタル
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