9月に関西地方などを襲った台風21号で、関西空港などがある大阪湾南部の沿岸で発生した記録的な高潮は、海水の移動で海面の高さ(潮位)が急に上下する「副振動」と呼ばれる現象によってもたらされたことを、気象庁気象研究所がコンピューターを使った解析で明らかにした。


 同研究所の高野洋雄こうのなだお室長(海洋物理学)らは、台風の位置や風速などの気象データをもとに、9月3日朝から48時間にわたる大阪湾の海水の動きをコンピューターで再現した。

 再現結果によると、21号が大阪湾を通過して間もない4日午後2時半ごろまでは、強い南風で大阪湾の奥に吹き寄せられた海水で高潮が発生した。

 しかし、21号が駆け足で近畿地方を通過したため南風が急速に弱まり、吹き寄せられていた大量の海水が一気に南下する副振動が発生。大阪湾の入り口は幅約10キロの海峡となっているため、南下した海水が滞り、湾南部での高潮をもたらしたとしている。実際の観測でも、湾南部の沿岸で最高潮位を記録したのは21号の通過から1時間以上も後だった。関西空港の運営会社は、空港が浸水した主因は4メートルを超える高波の可能性が高いとしている。

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読売新聞
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