【宇宙開発】ロシアのソユーズ打ち上げ失敗から宇宙飛行士の命を救った脱出装置「SAS」とは?[10/25]
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2018年10月11日、ロシアの「ソユーズMS-10」宇宙船を載せた「ソユーズFG」ロケットが打ち上げに失敗した。宇宙船は緊急脱出し、地上に着陸。幸いにも、搭乗していたロシアのアレクセイ・オフチニン宇宙飛行士と、米国のニック・ヘイグ宇宙飛行士の2人は無事だった。
連載の第1回では、ロケットの打ち上げ失敗までの出来事について紹介した。
今回は、ロケットの打ち上げ失敗から、宇宙飛行士はどのようにして生還を果たしたのか。その顛末と、命を救った「緊急救助システム」について取り上げる。
■緊急救助システム (SAS)
ロケットの打ち上げ失敗という大事故にもかかわらず、無事に宇宙飛行士が生還できたのは、ソユーズに搭載されている「SAS」と呼ばれる脱出装置のおかげだった。
SASとはロシア語のSistema Avariynogo Spaseniyaの頭文字から取られており、直訳すると「緊急救助システム」という意味になる。その名のとおり、問題の起きたロケットから、宇宙船ごと宇宙飛行士を引き剥がすように脱出させることで、救助することを目的としたシステムである。
その要となるのが、宇宙船を脱出させるための固体ロケットである。脱出用の固体ロケットは2種類あり、ひとつはロケットの先端にある塔のような部分(エスケープ・タワー)に大き目のメイン・モーターが、もうひとつはフェアリングの側面に小さ目の補助モーターが搭載されている。打ち上げの初期段階では両方を、エスケープ・タワーを分離したあとは補助モーターのみで脱出する。
脱出時にはまず、SASがセンサーなどのデータからロケットの異常を検知すると、即座にこの固体ロケットに点火し、宇宙船を脱出させる。
ちなみにソユーズ宇宙船は3つのモジュール――宇宙飛行士が軌道上で滞在する「軌道モジュール」、打ち上げや帰還時に座る「降下モジュール」、そして太陽電池やスラスターなどが収められた「機械モジュール」――が結合した状態で構成されているが、このうち脱出するのは、降下モジュールと、その前部にくっついている軌道モジュールのみで、機械モジュールはそのままロケット側に残る。
そしてロケットから十分に離れた後、降下モジュールのみが分離され、通常の帰還時のように、パラシュートを開いて降下し、着陸する。着陸場所が山の中、湖や海の上ということもありうるため、あらかじめ船内にはサバイバル・キットが装備されており、ソユーズに乗り込む宇宙飛行士は事前にサバイバルの訓練も受ける。
異常検知やロケット点火などはすべて自動で、宇宙船に乗っている飛行士が手動で起動することはできない。ただし地上からの遠隔操作で起動させることはできる。
また、通常ソユーズ宇宙船が降下する際には、機体は「揚力降下モード」と呼ばれる、機体の姿勢を制御して揚力を発生させることで、宇宙飛行士が受ける加速度(G)を小さくしている。しかし緊急脱出時には、とにかく飛行士の命を助けることのみを考え、弾道降下モードと呼ばれる、機体を回転して安定させ、さらに揚力を発生させず、そのまま突っ込むように降下する。乗り心地は二の次で、大きなGがかかり、後述するように、場合によっては大怪我をすることもある。
■打ち上げのシーケンスと、その時々での脱出方法を示した図
https://news.mynavi.jp/article/soyuz-2/images/003.jpg
https://news.mynavi.jp/article/soyuz-2/images/002.jpg
https://news.mynavi.jp/article/soyuz-2/images/001.jpg
https://news.mynavi.jp/article/soyuz-2/images/004.jpg
https://news.mynavi.jp/article/soyuz-2/
続く) 続き)>>1
■SASによる脱出のシナリオ
SASはロケットの打ち上げの40分前から機能し、飛行中はもちろん、宇宙船の分離まで、あらゆるタイミングで脱出することができるようになっている。
この間、SASがどのように宇宙船を脱出させるかは、大きく4段階に分かれている。
■フェイズI
まず打ち上げ40分前から、打ち上げ1分54秒後までの間にロケットに問題が起これば、ソユーズ宇宙船の降下モジュールと機械モジュールの間の結合が解かれ、フェアリングにある安定翼を展開。そして同時に、エスケープ・タワーのメイン・モーターとフェアリングの補助モーターに点火し、ソユーズ・ロケットから宇宙船を引き剥がす。
ちなみに地上から緊急脱出する際は、高度1〜1.5kmまで上昇する。これは爆発するロケットから離れ、なおかつパラシュートを開いて安全に帰還するのに十分な数字である。
■フェイズIA
打ち上げ1分54秒後まで飛行が順調なら、エスケープ・タワーは分離、投棄される。その後、打ち上げ2分37秒後のフェアリング分離までの間に問題が起きた場合には、フェアリングにある補助モーターで脱出する。このときもやはり、降下モジュールと機械モジュールをいっしょに分離する。
■フェイズII
打ち上げ2分37秒後まで順調なら、補助モーターとともに、フェアリングは分離、投棄される。そのあとでロケットにトラブルが起きた際には、ロケットなどを使わず、ソユーズの機械モジュールと降下モジュールとを分離する。この間にはもともとバネによる分離機構が仕込まれており、この段階ではすでにロケットの加速度は小さくなっているため、脱出用のロケットを使わなくても十分に分離、脱出ができる。
■フェイズIII
ただし、ソユーズ・ロケットの第3段の燃焼が終了する直前に問題が起きた場合には、通常の打ち上げと同じように、ロケットとソユーズ宇宙船の機械モジュールとの間にある衛星分離部を使って分離する。この段階では軌道到達寸前、あるいはすでに軌道に乗っているため、機械モジュールのスラスターを使って軌道離脱し、着陸することになる。
続きはソースで
■打ち上げのシーケンスと、その時々での脱出方法を示した図
https://news.mynavi.jp/article/soyuz-2/images/003.jpg
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https://news.mynavi.jp/article/soyuz-2/images/001.jpg
https://news.mynavi.jp/article/soyuz-2/images/004.jpg
https://news.mynavi.jp/article/soyuz-2/ アメリカの有人ロケットもサターンロケットまではもちろん同様の仕掛けが付いてたよ
シャトルにはいろんな問題があるまま運用されてた >>3
同様では無いな。
アポロ13号を見ても分かるが、色々違いがある。 スペーシャトルの方が優秀な脱出装置だったが、シャトルの方がでかすぎて機能しなかったと言う
事で、シャトルが劣って居るわけでは無さそうだ??
ロケット本体の異常が検知出来な状態ではシャトルもソユーズも同じく自爆するしか無い
と言う点では何も変わらないと言う事は、確かなようだ!! >>3
昔の図鑑などにロケットの先端の細い「緊急脱出用ロケット」があると書いてはあったんだが
ロケットモーターの位置とかは書いてなかったなあ そういや近くのリサイクル店で
SASのHDDをSATAのHDDと謳って売っているな こんな枯れた技術ですら重大事故起こしてるんだからロシアもガッタガタだな 盛大に吹っ飛んだが
むしろロシアの技術力の高さを証明する事件になったな
飛行士を生還させた功績は大きい >>1
結局のところ、非常脱出装置が3回作動して、3回とも飛行士が助かってる
スペースシャトルのように、もともと脱出手段が無い構造よりもはるかに安全だ >>10
事故起こしてる時点で信頼もくそもないぞ
数少ない外貨稼ぎのソユーズすらまともに打ち上げられなくなってるんだもの >>10
ほんとそう思う
打ち上げプロセスから独立した安全装置という意味では、毎回しっかり動作して成功している >>6
それは違う
シャトルは打ち上げのある期間は、脱出方法が最初から全くない
元から設計そのものがおかしかった なお打ち上げ成功率はソユーズよりもシャトルの方がはるか上の模様 ロシアの脱出装置は世界一だ、航空ショーで観客を薙ぎ払っても
パイロットは無傷で脱出できる ソユーズはソ連時代のいわゆる枯れた技術で、使い古されているが故に信頼性が高い
そんな手堅い技術なのに打ち上げ失敗で爆散とはなぁ 他国の民間宇宙企業が随分成長してるから焦っちゃったんだろう。
あまりない金稼ぎの手段だったのになw まあ何にせよソユーズの安定性や安全性、信頼性を示す形になったな。 打ち上げに失敗(それも有人ロケットで)してる時点で信頼性なんてありませんよ
民間企業がロケット打ち上げからの垂直着陸に成功してる時代何やってんだって話 人命を尊重するシステムって大事だな
同じレベルの人間を作るコストと時間を考えるとね >>17
それは合ってる。
戦闘機用の射出座席もアメリカのもの(マーチンベイカー社製)より優れているといわれている アメリカの枯れた技術で作ってる筈のSLSはいつ完成するんだよ >>22
その民間ロケットには非常時に積み荷を脱出させる装置あるの? >>22
ロシアはここ半世紀ぐらい宇宙機による死亡事故は起こしてないが
アメリカは14人だったかが死んでる
システムとしての信頼性は比べるまでもないだろ スペースシャトルに脱出モジュールが無いことが、いかにキチガイじみてたか思い知らされる アメリカの宇宙事故の多さは、NASAの安全軽視が原因だったな。
政治的な圧力で安全よりスケジュールが優先されたり、
ソ連が打ち上げられないスペースシャトルを政治的なパフォーマンスの為に優先して宇宙開発予算を食いつぶしたりもした。
また、スペースシャトルの打ち上げを優先するばかりに、スペースシャトルの欠陥を無視する体質まで問題になった。
一方ロシアのソユーズに関してだが、ソユーズの技術が古くなりすぎて製造に問題が発生し始める頃だろ。
ロケットのエンジンが複雑すぎて製造ミスが増える。
エンジン制御コンピュータが真空管で出来ているが、その真空管の製造を続けるのが難しい。
ロケット部品の製造装置が更新されず、かなり古い製造装置を使いまわしているので、ロケット部品に欠陥が発生し始めている。 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています