■間欠泉で見つかる不思議な形の石には、地質的な歴史が刻まれているかもしれない

卵を産む温泉がある。周期的に水蒸気や熱湯を噴き出す「間欠泉」だ。
 とはいえ間欠泉の卵から、小さい間欠泉が生まれてくるわけではない。この「卵」は熱水だまりの熱水から析出してくる二酸化ケイ素が結晶化したもので、なめていると色が変わる飴玉のように、多層構造をしている。長い時間の経過とともに1層ずつ形成されるため、各層は形成当時の熱水だまりの状態を物語ってくれる。

 米イエローストーン国立公園のオールド・フェイスフル間欠泉のまわりのカラフルな熱水だまりの中には、こんな奇妙な石がごろごろしている。しかし、国立公園内の規制が非常に厳しいため、科学者たちはこれまで石に手を触れることさえできずにいた。今回初めて、地質学者のチームがオールド・フェイスフル間欠泉の卵を1個だけ採取することを許可された。直径約4センチの石の繊細な構造を明らかにすることで、オールド・フェイスフルが長い年月をかけてどのように変化してきたかを知る手がかりが得られるかもしれない。

 研究チームのニュージーランド、オークランド大学のブリジット・リン氏は、「この小さな石が、成長の過程で間欠泉の歴史を記録し、保存してきたと思うと感慨があります」と言う。

 この研究は、ナショナル ジオグラフィックが支援する間欠泉調査プロジェクトの一環で行われた。

 カナダ、アルバータ大学の地質学者ブライアン・ジョーンズ氏は今回の研究には関与していないが、間欠泉の卵の分析を通じて、初期の生命の秘密にも迫れるかもしれないと期待している。一部の科学者は、間欠泉には原始的な細胞が存在し、こうした石を調べることは最初の生命が誕生した仕組を解き明かすのに役立つかもしれないと考えている。

「常にその可能性があります。私たちはそれを狙っているのです」と、世界各地で間欠泉の卵を調べているジョーンズ氏は言う。「そこに到達できるかは、また別の問題なのですが」

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