遺伝子を自在に操作できるゲノム編集技術の一つ「クリスパー・キャス9」を使うと、
DNAの一部が意図せずに消えてしまう恐れがあることを英国の研究チームが発見した。
医療への応用が期待される新技術の信頼性がゆらぐ結果で、チームは、
編集された遺伝子を徹底して調べるべきだと警鐘を鳴らしている。

 科学誌「ネイチャー・バイオテクノロジー」に17日、発表した。
チームは今回、マウスのES細胞(胚(はい)性幹細胞)やヒトの網膜細胞を使ってキャス9でゲノム編集を実施。
すると、編集を狙ったDNAの塩基配列の周辺で、狙いとは別に数千塩基分の配列が消えたり、
ほかの塩基配列が組み込まれたりしていた。

 キャス9が医療現場で利用され、多くの細胞にゲノム編集をすれば、こうした変化が数多く起き、
重大な病気になりかねないと指摘している。例えば、誤ってがんの発症を抑える遺伝子の機能が失われれば、
がんになりやすくなる恐れが強まるとみられる。

朝日新聞デジタル
https://www.asahi.com/articles/ASL7G3FGYL7GULBJ002.html