■欧州宇宙機関(ESA)が公開したある彗星の画像を、
Twitterユーザーが組み合わせて迫力の動画に仕立て話題になっている

チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星(67P)をご存知だろうか。

旧ソビエト連邦の天文学者であるクリム・チュリュモフ氏とスヴェトラナ・ゲラシメンコ氏が1969年に発見した周期彗星だ。
2つの彗星が衝突したまま結合したような奇妙な形状をなし、硫化水素やアンモニア、
ホルムアルデヒドなどを含むガスが、強烈な臭いを放つという。

また、地球のものとは性質の異なる水の蒸気が噴き出していることも確認されているが、
いまだ多くの謎に包まれているのが現状だ。

■ミステリアスな彗星で猛吹雪!?

そして、このほど、このミステリアスな彗星で猛吹雪の中にたたずんでいるかのような、
ダイナミックで幻想的なGIF動画がツイッターに投稿され、話題となっている。

このGIF動画は、欧州宇宙機関(ESA)の公式ウェブサイトで2018年3月21日に公開された彗星67Pの画像アーカイブをもとに、
Twitterユーザーの「landru79」さんが制作したもの。

ESAの上席顧問マーク・マコーリアン博士によると、この彗星の背景にある星は「おおいぬ座」で、GIF動画では、
その散開星団である「NGC2362」や「NGC2354」のほか、その星系のひとつ「27CMa」も認められるという。

高エネルギー分子がカメラにぶつかって・・
また、このGIF動画に映る"雪"の正体は、高エネルギー分子がカメラにぶつかって表れる明るい線と塵、
埃が混じり合ったものだとみられている。

これらの画像は、ESAによって2004年に打ち上げられ、
2014年に彗星67Pの周回軌道に投入された彗星探査機「ロゼッタ」の画像システム「OSIRIS」が、
2016年6月、彗星67Pから約10キロメートルの地点で撮影したものだ。

「ロゼッタ」は、周回軌道への潜入に成功した2014年8月から2016年9月に彗星67Pの表面と衝突してミッション終了となるまでの2年あまりにわたって、
彗星67Pのガスや塵、プラズマの環境を調査したり、地表の詳細な様子を高解像度の画像で記録するなど、
彗星67Pの観測に大いに貢献した。

「ロゼッタ」が彗星67Pで収集した情報は地球に回収されており、現在も、
研究者によってデータの解析作業がすすめられている。今後、「ロゼッタ」が残した"遺産"が、彗星67Pのみならず、
彗星研究そのものにどのような影響をもたらすのか、その動向もじっくりと見守りたい。

画像:水を含むガスや塵を噴き出すチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星
https://www.newsweekjapan.jp/stories/assets_c/2018/04/matuoka0428a-thumb-720xauto.jpg

動画:このGIF動画は、欧州宇宙機関(ESA)の公式ウェブサイトで2018年3月21日に公開された
彗星67Pの画像アーカイブをもとに、Twitterユーザーの「landru79」さんが制作したもの。
Snowstorm on a comet https://youtu.be/zcXUawPhhJw
Rosetta: landing on a comet https://youtu.be/mggUVLFPkQg
動画:ロゼッタの航行履歴をアニメーション化した動画
Rosetta’s journey around the comet https://youtu.be/RnwwxZwUSCY

ニューズウィーク日本版
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/04/post-10072.php