(CNN) 脳震盪(のうしんとう)などの外傷性脳損傷と、
パーキンソン病発症のリスク増大との関係を指摘する研究結果が、このほど米神経学会誌に発表された。

パーキンソン病発症のリスクは、軽度の外傷性脳損傷の場合は56%、
中程度から重度の損傷の場合は83%増大することが分かったとしている。

パーキンソン病は治療法が確立されていない神経疾患で、震えや硬直の症状を伴い、
バランスを取ったり歩いたり身体の動きを調整したりすることが難しくなる。
一方、外傷性脳損傷は、最大で成人の40%が経験しているという。

今回の研究では、0分〜30分の意識喪失か24時間以内の意識変容、
または0時間〜24時間の記憶喪失を軽度の外傷性脳損傷(脳震盪)と定義。
一方、30分以上の意識喪失か24時間以上の意識変容、または24時間以上の記憶喪失を、
中程度から重度の外傷性脳損傷と定義した。

カリフォルニア大学などの研究チームは、米退役軍人健康管理局のデータベースを利用して、
31〜65歳の退役軍人32万5870人について調べた。
調査を開始した時点で、パーキンソン病や認知症と診断されていた人はいなかった。
一方、約半数は、軽度から重度の外傷性脳損傷を経験していた。

パーキンソン病との関係を調べるために継続調査を行ったところ、
調査を開始してから12年以内に1462人がパーキンソン病と診断された。
このうち過去に外傷性脳損傷と診断されたことがあったのは949人で、同診断を受けた人全体の0.58%に当たる。
一方、外傷性脳損傷の経験がなくパーキンソン病を発症したのは513人で、発症率は0.31%だった。

年齢や健康状態などの要因を加味すると、
何らかの外傷性脳損傷を経験したことのある退役軍人がパーキンソン病を発症するリスクは71%増大していたことが分かった。
程度別にみると、中程度から重度の外傷性脳損傷の場合は83%、軽度の外傷性脳損傷の場合は56%増大していた。

また、外傷性脳損傷を経験した退役軍人は、そうでない人に比べて2歳若い年齢で、パーキンソン病を発症していた。

カリフォルニア大学の研究者は、今回の調査の対象者の数が多いことを理由に、
「たとえ軽度の外傷性脳損傷であってもパーキンソン病のリスクを増大させることが、高いレベルで実証された」と解説する。

ただし、外傷性脳損傷の有無を問わず、パーキンソン病を発症する退役軍人はごく少数にとどまると専門家は指摘する。

実際に、軽度の外傷性脳損傷を経験した退役軍人7万6297人のうち、パーキンソン病を発症したのは360人のみ。
中程度から重度の外傷性脳損傷を経験した7万2592人の中では543人にとどまっている。

関連ソース画像
https://www.cnn.co.jp/storage/2018/04/21/015cc81d93f26692abcd216f76d373c9/skull-and-spine-stock-story-top.jpg

CNN
https://www.cnn.co.jp/fringe/35118124.html