動物の中には地球の磁場を感知する能力を持った種類が多く存在しており、
鳥が磁場を目で見て方角を判断している可能性があるといった研究結果も発表されています。
そんな中、アカウミガメは産卵する浜辺を見つける時に、
自分が生まれた浜辺と似た磁場を持つ浜辺に現れる特性があることが発見されました。

Evidence that Magnetic Navigation and Geomagnetic Imprinting Shape Spatial Genetic Variation in Sea Turtles: Current Biology
http://www.cell.com/current-biology/fulltext/S0960-9822(18)30351-8?_returnURL=https%3A%2F%2Flinkinghub.elsevier.com%2Fretrieve%2Fpii%2FS0960982218303518%3Fshowall%3Dtrue

Scientists have discovered a fascinating link between magnetic fields and turtle nesting
https://www.sciencealert.com/scientists-have-discovered-a-fascinating-link-between-magnetic-fields-and-turtle-nesting

Current Biologyに研究結果を発表したノースカロライナ大学の生物学者ケネス・ローマン氏は、
「アカウミガメは生まれた後に大西洋や太平洋を単独で横断し、
また戻ってくるという驚くべき特性を持っています。アカウミガメが戻ってくるのは生まれた付近の浜辺か、
その浜辺に非常によく似た磁場を持つ浜辺です」と述べています。

ローマン氏らの研究グループは、
アカウミガメの遺伝子構造と出生した浜辺の磁気的特性の間に相関があるのかどうかを調べるため、
アメリカ南東の海岸に存在する20の異なるアカウミガメ産卵場所から、
834匹分の遺伝子サンプルを入手して分析しました。
その結果、アカウミガメの遺伝子が持つ類似性は、20のビーチに存在する地理的特性よりも、
磁気的特性に顕著な関係があることが明らかになったとのこと。
似た磁場を持つ浜辺で巣を作るアカウミガメのグループは、遺伝的にも類似していることが確認されたのです。

この結果により、長距離を回遊してきたアカウミガメが自分の生まれた浜辺に戻って産卵する理由を、
「浜辺の磁場を感知しているからだ」とする説が補強されることになりました。
たとえ出生した浜辺から地理的に離れた場所に帰巣する時でも、
非常に似た磁場を持つ浜辺に現れることが示唆されたため、
アカウミガメの保全活動にとっても有益な研究結果となる可能性があります。

もちろん、出生した浜辺が持つ磁気的特性だけが、
アカウミガメの遺伝的要因の全てを占めるというわけではありません。
また、アカウミガメがどのような磁気的パラメーターを指針として、
目指す浜辺を特定しているのかという点も不明なままであり、
今後もアカウミガメの帰巣についての研究が必要だとのこと。

ローマン氏は今回の研究結果を受けて、
「私たちが発見した『アカウミガメの遺伝的特性に出生した浜辺の磁気的特性が関連している』という事実は、
アカウミガメだけでなく、サケやサメ、渡り鳥など他の磁場を利用して長距離を移動する動物たちの生態に関しても、
新たな視点を与えるものでしょう」と述べています。

関連ソース画像
https://i.gzn.jp/img/2018/04/16/link-magnetic-fields-and-turtle/00_m.jpg
https://i.gzn.jp/img/2018/04/16/link-magnetic-fields-and-turtle/01_m.jpg

GIGAZINE
https://gigazine.net/news/20180416-link-magnetic-fields-and-turtle/