大分県中津市で土砂崩れが起きた地域は、火山噴火による堆積たいせき物でできた崩れやすい地層があり、
専門家は「過去に大規模な地すべりが起きた痕跡が多く見られる」と指摘する。

 2005〜10年に現地調査した産業技術総合研究所の石塚吉浩・研究グループ長(火山地質学)によると、
崩落した現場の斜面上部は、100万年前に近くの火山で生じた火砕流が冷えて固まった
「溶結ようけつ凝灰岩ぎょうかいがん」でできているという。

石塚さんは「冷却する際に岩石が縮んで縦方向に柱状の割れ目が入り、もろくて崩れやすい」と話す。
さらに斜面下部には、軽石などと堆積岩が混ざった軟らかい地層があり、石塚さんは二つの地質の特徴が重なり、
土砂災害が大規模になった可能性を指摘している。

 一般的に、地すべりが起きやすい斜面では地下に水脈が走っていることが多い。
今回の崩落について、新潟大の福岡浩教授(地すべり学)は
「崩落現場の映像を見ると、崩れた部分の真ん中に水が湧いており、きっかけは地下水位の上昇と推定される」と分析する。
さらに、16年4月に大分県でも強い揺れが生じた熊本地震や昨年7月の九州北部豪雨で、
現場の地盤が緩んでいた可能性も指摘する。

 日本地すべり学会の落合博貴学会長は
「斜面の写真を見ると、水が流れたような跡がわずかに見て取れ、地下水が影響した可能性はある。
ただし、これまで地下水が急増するほどの降雨はなく、直接的な原因はよく分からない」と話した。

関連ソース画像
http://www.yomiuri.co.jp/photo/20180411/20180411-OYT1I50034-N.jpg

読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/science/20180411-OYT1T50088.html