南米沖の太平洋でことし7月以降、海面水温が低い状態となっていることから、気象庁は11日、
「ラニーニャ現象が発生していると見られる」と発表しました。
「ラニーニャ現象」は、南米・ペルー沖の赤道付近の東太平洋で海面水温が低くなる現象で、
日本を含む世界の天候に影響を及ぼすと考えられています。

気象庁の解析によりますと、この海域では、ことし7月から先月までの5か月間の海面水温の平均値が、
基準よりも0.5度以上低くなっていて、この状態は今後も続くと見られるということです。

このため、気象庁は11日、「ラニーニャ現象が発生していると見られる」と発表しました。

前回、「ラニーニャ現象」が発生したのは、7年前の平成22年の夏から翌年の春にかけてで、
今回は来年の春まで続く可能性があるということです。

この現象が起きると、日本では上空で偏西風が蛇行して寒気が流れ込みやすくなり、
冬の気温が平年より低くなる傾向があるということです。

気象庁気候情報課の廣澤純一エルニーニョ情報管理官は「この冬は気温が下がって寒さが続き、
ところによって大雪になる可能性があるので、最新の気象情報に注意してほしい」と話しています。

〈「ラニーニャ現象」になると…〉

気象庁によりますと、「ラニーニャ現象」が発生すると、
日本では上空で偏西風が蛇行して寒気が流れ込みやすくなって冬型の気圧配置が強まり、
冬の気温が平年より低くなる傾向があるということです。

このうち、11年前の「平成18年豪雪」では、
前の年の平成17年12月から平成18年1月にかけて強い冬型の気圧配置が続き、
日本海側で記録的な大雪となって150人余りが死亡しました。
この原因の1つとされているのが「ラニーニャ現象」で、気象庁は日本付近で偏西風が南に蛇行したため、
強い寒気が流れ込みやすくなり、冬型の気圧配置を強める結果となったと分析しています。

「ラニーニャ現象」が発生したと見られることしも、偏西風が平年に比べて日本付近で南に蛇行していて、
北から寒気が流れ込みやすい状態となっています。

このため気象庁は、冬の気温が平年より低くなる傾向があるとして、吹雪や大雪による交通への影響や、
雪下ろしの際の転落や落雪に注意するとともに、最新の気象情報に注意して早めに対策を取るよう呼びかけています。

NHKニュース
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20171211/k10011254501000.html