風力発電所の風車に衝突する「バードストライク」が原因で死んだ野鳥が、2001年から昨年3月までに国内で確認されただけでも計約300羽に上り、
このうち天然記念物オジロワシなど絶滅危惧種は6種計42羽だったことが「日本野鳥の会」自然保護室の浦達也さんの研究で分かった。

 北海道釧路市で開催中の渡り鳥に関する国際会議で16日に報告した浦さんは
「原発に代わる再生可能エネルギーとして風力発電は推進すべきだが、適切な場所を選ぶ必要がある」と話している。

 報告によると、衝突死した絶滅危惧種は、オジロワシ37羽、ウミスズメ、ヒメウ、クマタカ、イヌワシ、オオワシがそれぞれ1羽。
準絶滅危惧種は3種の計4羽で、それ以外ではトビ約50羽、ウミネコ約10羽などの死が確認されている。

 ただ、データは発電事業者の発表や報道などに基づいており、浦さんは「全体の一部にすぎないとみられる」と話す。

 また、大規模風力発電施設がある北海道稚内市の宗谷岬で、レーダーを使って飛行ルートを追跡調査した結果、
オジロワシやオオワシが発電所の周辺を避けるように飛んでいることが判明。渡りのルートが変更された可能性が高いという。

 欧州のバードストライク対策などに詳しい国際環境NGO「バードライフ・インターナショナル」(本部・英国)の
トリストラム・アリンソン研究員は「鳥の飛行ルートや繁殖地を明示した地図を作製し、事業者に適切な場所を助言していくことが必要だ」と指摘している。

日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXLASDG20HCA_Q5A120C1CR8