http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170602/k10011003671000.html
6月2日 7時56分
妊娠28週未満のいわゆる「超早産」で生まれた赤ちゃんの2割から5割には、成長後、発達障害につながる脳の機能障害が出ると言われますが、この障害は、出産の前後に脳の神経細胞が成長段階で移動を止めてしまうために起きている可能性があるとする研究成果を慶応大学などのグループが発表しました。脳の機能障害を予防する手がかりが得られたとしています。
妊娠28週未満で生まれるいわゆる「超早産児」は周産期医療の発達で世界的にも増えていて、成長後、およそ2割から5割に発達障害につながる脳の認知機能障害が出るとする報告があります。

慶応大学の久保健一郎専任講師などのグループは、その原因を解明しようと妊娠10週以降の胎児の脳を詳しく調べました。
その結果、これまでは、妊娠22週を過ぎると脳を形作る神経細胞の配置は終わっているとされていましたが、妊娠23週以降も神経細胞は移動を続けていました。
また超早産の赤ちゃんは、体の機能が未熟なため脳に血液が行き渡らない虚血性の脳障害が起きやすく、こうした赤ちゃんを調べると、神経細胞の多くが移動の途中で止まり、正常な位置にまで到達していませんでした。

グループでは、この現象が、成長後の脳の障害の原因になっているとみていて、久保専任講師は「虚血への対応次第で、脳の機能障害が予防できる大きな手がかりが得られた。超早産児が抱える脳障害の予防や治療につながる研究を進めたい」と話しています。