記憶や学習など脳機能に関与するたんぱく質
「IP3(イノシトール三リン酸)受容体」の構造や機能の解明に、
理化学研究所の研究チームが17日までに成功した。
IP3受容体の異常は遺伝性の神経変性疾患や認知症との関連が指摘されており、
成果はこうした疾患の治療や予防に役立つと期待される。
論文は近く、米科学アカデミー紀要電子版に掲載される。


 IP3受容体は細胞内小器官「小胞体」の膜上にあり、
細胞への刺激で生じたIP3が結合すると
小胞体内からカルシウムイオンを外に放出する「穴」(チャネル)を開く。
カルシウムイオンは細胞内の情報伝達に使われるため、
制御がうまくいかないとさまざまな疾患の原因になるが、
IP3受容体の詳細な立体構造がよく分かっていなかった。


 理研の御子柴克彦チームリーダーらは、
IP3受容体の主要部分の構造を大型放射光施設「スプリング8」(兵庫県佐用町)で解析した。
IP3受容体はたんぱく質としては巨大なためIP3結合部位の変化が、
どのように離れたチャネル部位まで伝わるかが謎だったが、
解析の結果、結合部に近い領域がまず大きな構造変化を起こし、
さらにその変化がチャネル隣接領域に伝わってチャネルを開くという
「リレー方式」で制御されていることが分かった。


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