幹細胞死滅でも復活=大腸がんで発見―慶大

時事通信 4/8(土) 15:47配信

 大腸がんで転移や再発の原因となる幹細胞だけを死滅させても、幹細胞が生み出した寿命の短い細胞が先祖返りして復活すると、
慶応大医学部の佐藤俊朗准教授らが8日までに発表した。

 近年、幹細胞を標的とする新薬の開発が進んでいるが、完全に治すには既存の治療薬と組み合わせる必要があるという。
論文は英科学誌ネイチャー電子版に掲載された。

 大腸は正常な状態でも、幹細胞と寿命の短い細胞がある。幹細胞は自らも増殖を続けながら短寿命の細胞を生み出すが、
短寿命の細胞は増殖できない。2種類の細胞ではそれぞれ特有の遺伝子が働いている。

 佐藤准教授らは、患者から採取した大腸がん細胞を立体的に培養し、幹細胞に特有の「LGR5」遺伝子が働くと緑色の蛍光で識別できるようにした上で、
マウスに移植した。

 特殊な薬剤で幹細胞だけを死滅させると、がん組織の増大が止まったが、薬剤投与をやめると幹細胞が再び出現し、増大し始めた。
観察の結果、幹細胞が生み出した短寿命の細胞が先祖返りし、幹細胞に戻ったことが原因と分かったという。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170408-00000057-jij-sctch