フィンランド外務省の主催で、世界16カ国の若手ジャーナリストがこの国をあらゆる視点から学ぶプログラムに参加している。

8月21日は、「フィンランドジャーナリスト労働組合」(UJF)を訪ねた。UJFは、国内のジャーナリストたちの権利を守るために1921年に創設された。出版社、テレビ局、新聞社、雑誌、ラジオ局などで働くジャーナリストの約9割にあたる、約1万5000人が加入している。組合員の58%は女性だ。2015年1月、ハンネ・アホさんが、女性として初めて組合の代表に選ばれた。雑誌のグラフィックデザイナーとして働いてきた経歴を持つ。

日本では、財務省の福田淳一・元事務次官によるテレビ朝日社員へのセクハラがきっかけとなり、メディア業界でのセクハラが問われている。フィンランドでは、同じ問題はは、どう扱われているのだろう。アホさんに聞いた。

ーー日本では、取材先と夜に会食することがあります。オフレコで話を聞くことで関係が深まり、より深い話が聞け、特ダネがとれるかもしれないからです。一方、こうした場でセクハラを受けることもあります。フィンランドでは、どうですか。

晩御飯を食べながら取材?それはあまりないですね。せいぜいランチかな。同行取材の際、晩御飯までついていくこともありますが、日々のニュースを追いかけている記者は忙しくて時間がなかなかとれません。

フィンランドでの外食は高いですよ。ランチならまだしも、夕食は1人100ユーロ(約12700円)は超えるでしょう。取材先とそんな額の金銭が介在する関係になることもありえません。

食事をとらないと深い取材ができない訳ではありません。

取材されたらなるべくオープンに話すことがよしとされています。なので、取材を申し込まれたら情報を隠そうとするより、記者に対して誠実に向き合っていると思います。

それでも1990年代までは、会食することもありました。でも、そういう時代ではなくなっています。背景の一つに、記者が多忙になったことがあります。

2008年と比べ、記者の数は25%減って、1人が担当する領域が増えました。また、昔はただ記事を書いていればよかった記者も、ポッドキャストの音声番組に出たり、あらゆるSNSで発信したり、「書く」以外の仕事が増えています。家族や自分の時間は犠牲にできないので、必然的に忙しくなり、取材先との交流も減りました。

ーーフィンランドでは、取材対象者とのセクハラ問題はないのでしょうか。

労働組合でも、昨年から続く#MeToo ムーブメントもあり、メディア業界のセクハラについてアンケートを実施、2018年2月に公表しました。1197人の記者から回答が寄せられました。16%が直近の1年間でセクハラを経験したと訴えました。13%は言葉でのセクハラ、7%は身体的なセクハラを受けていました。

取材対象者からセクハラを受けた人は、セクハラを受けた16%のうち25%でした。大半は社内でのセクハラになります。

さっきも話しましたが、記者として働ける時間はどんどん奪われているので、取材対象者とじっくり時間を過ごすことが近年減っています。その影響もあって、取材対象者にセクハラを受ける機会が減ったのでしょう。

続きはソースで
https://www.huffingtonpost.jp/arisa-ido/finland-ujf_a_23506779/