LNGに巨大プロジェクトの波、供給不足にらみ投資拡大

[ロンドン 6日 ロイター] - 数十億ドル規模の液化天然ガス(LNG)プラント建設に向けた新たな競争が勢いを増している。LNG投資は長い間停滞していたが、エネルギー大手は5年以内にLNGの供給が不足するとみている。

2014年にエネルギー価格が崩壊した後、ガスを輸送のために冷却して液体にする新たな複合施設への投資は枯渇した。

2000年代後半から大量に建てられたLNGプラントにより、2020年代初めまで供給過剰をもたらすのではないかとの懸念がさらに投資意欲を減退させた。

しかしこの1年で、センチメントはすっかり変わった。原油価格の上昇と、中国やインドといった急成長する経済国からの非常に強い需要に支えられ、エネルギー大手幹部は再び新たなプロジェクトに取り組む条件が整ったと自信を強めている。

世界最大のLNG生産国であるカタールは、2023─24年までに100─108mpta(100万トン/年)を生産するため同国の施設を3分の1程度拡張する準備をしている。

「世間が言う供給過剰について私は気にしていない。市場が悲観的になると予想して施設を拡張しなければ、市場が上向いたときにその流れに乗ることはできない」と、国営石油会社カタール・ペトロリアム(QP)のサアド・アルカービ最高経営責任者(CEO)は5月、ロイターに語った。

拡張にあたっては、新規参入者のほか、同社の長年のパートナーである米エクソンモービル(XOM.N)や英蘭系ロイヤル・ダッチ・シェル(RDSa.AS)、仏トタル(TOTF.PA)や米コノコフィリップス(COP.N)からの建設支援や出資を期待していると同CEOは語った。

見通しが大きく変化したのは、中国が近年、汚染対策で石炭の使用を減らしてLNG輸入を大幅に増やしているからだ。

「需給バランスは最近、以前よりも生産者に有利なようにみえることは確かだ」と、トタルのガス部門責任者フィリップ・ソーケ氏は言う。同社はシェルに次いで世界2位のLNG取引業者だ。

「中国は今後も需要に重要な影響を及ぼし続けるだろう。同国の需要は減速していない。インフラ強化へとますますシフトしている」と同氏はロイターに語った。

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2018年8月11日 / 17:44 ロイター
https://jp.reuters.com/article/lng-new-wave-idJPKBN1KV0BH