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  国際通貨基金(IMF)のエコノミストは、
労働移動が限られている点が日本の賃金の伸び悩みのもう1つの理由だとし、
終身雇用制をその背景に指摘している。
他方、米大統領経済諮問委員会(CEA)は2月21日に公表した大統領経済報告で、
「労働力の地理的な移動の欠如は容易な解決策のない難問」だと論じ、
一部の米国民が求職をやめてしまった理由かもしれないとの分析を示した。

  労働市場の力学でもう一つ大きな変化をもたらしているのは人口の高齢化だ。
高齢化の進展は日本の方が米国よりも急ピッチだが、両国に共通の事情でもある。
年長の労働者の方が賃金が高めのため、その引退に伴って平均給与は押し下げられる。

  日本の賃金とインフレの伸びがこれほどまでに低い最大の理由は恐らく、雇用者と被雇用者の双方が、
状況は変わらないと信じてそのように行動している点にあるのだろう。

  日銀の黒田総裁は15日の政策決定会合後の記者会見で、日本独自の特殊要因として、
企業や家計に残る一種の「デフレマインド」がインフレ押し上げに当たっての課題であるとの考えを示した。

  パウエル議長は、インフレ期待が当局の2%目標でしっかり安定し続けてそれを下回らないことが
「非常に重要」だと話しており、それこそが4%を下回る失業率を容認することで、
約半世紀前の「グレート・インフレーション」
時代との違いを浮き彫りにしようと賭けてみる理由なのかもしれない。

Bloomberg
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-06-19/PAK2OP6S972A01