ロシア訪問中の安倍晋三首相は25日午後(日本時間25日夜)、
サンクトペテルブルク国際経済フォーラムで講演した。
日露関係の強化がロシアの経済成長に結びつくと指摘し、
「平和条約は、大きなビジョンを実現するためにこそ必要だ」と強調した。
条約締結の前提の北方領土問題の解決を促す狙いだ。

 首相は講演で、日露の「永続的な安定」があれば、
ベーリング海や日本海が「平和と繁栄の海の幹線道路になる」と指摘。
ロシアの液化天然ガス(LNG)などを日本経由で中国やインドに運べば
「日露のウィンウィン(相互利益)が成り立つ」などと訴えた。

 日本政府は2016年にロシア各地で実施する「経済協力プラン」を提案しており、
首相は既に130件超のプロジェクトが動き出したと紹介。
「日本は具体的事業で貢献し、ロシア経済の促進剤になろうとしている」と売り込んだ。

 そのうえでプーチン大統領と2人で日露関係を動かす決意をしているとし、
「平和条約を締結して永続的な平和と安定を築き上げ、日露が、地域と世界の繁栄を守り、
育てる一大勢力になる」と表明した。米朝首脳会談中止にも触れ、
「重要なのは北朝鮮が完全・検証可能で後戻りができない非核化をするかだ」と語った。

 ロシアと米欧の距離が広がる中、首相の同フォーラム出席は初めて。
外務省幹部は「ロシアとの信頼関係が深まる」と期待する。

毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20180526/k00/00m/010/078000c