経済危機が深刻化する南米ベネズエラで20日、大統領選が実施された。
選管当局は反米左派「統一社会党」のマドゥロ大統領(55)が再選したと発表した。
野党候補は「違法行為があった」として再選挙を求めたが、マドゥロ氏は応じないとみられる。

 任期は2019年から6年間。チャベス元大統領が1999年に就任して以降、約20年間続いた反米左派政権が継続する。

 選管当局の中間集計(開票率92.6%)によると、マドゥロ氏が約582万票を得票し、
野党「先進革新主義党」のファルコン前ララ州知事(56)の約182万票に大差をつけた。

 マドゥロ氏は20日夜、首都カラカスで支持者を前に
「人民の勝利だ。私は労働者としてベネズエラが必要な唯一の道を進む」と勝利演説した。
危機に対応するため団結が必要として野党側と対話する考えも示した。
ただ、「選挙プロセスは今、終わった」と述べただけで再集計や再選挙には言及しなかった。

 ハイパーインフレや食料・生活必需品不足など経済危機について「帝国主義的な米国が仕組んだ」と主張しつつ、
経済安定に取り組むと主張。500万戸の無償住宅や無償保健サービスの向上など貧困層に手厚い政策を訴えてきた。
マドゥロ氏は13年4月、後継指名を受けたチャベス元大統領の死去に伴う大統領選で初当選した。

 国会多数派の野党連合「民主統一会議」は選挙をボイコット。
投票率は前回大統領選を大幅に下回る46.1%で、多くの野党支持者が棄権した。

■欧米各国は経済制裁を強化

 欧米や周辺国は民主的ではないとして大統領選の結果を承認しないと相次いで表明した。
欧米各国は経済制裁を強化する方針で、マドゥロ政権の国際社会での孤立は一層深まりそうだ。

 米国のサリバン国務副長官は20日、米国は改めて結果を受け入れない考えを強調。
ベネズエラの基幹産業である石油分野への制裁について「とても重要な措置」として前向きに検討していると明らかにした。
ポンペオ国務長官はツイッターで「偽りの選挙では何も変わらない」とマドゥロ政権を非難した。
米国は18日には与党「統一社会党」のディオスダド・カベジョ副党首ら4人を制裁対象に新たに加え、圧力を強化していた。

 南米チリのピニェラ大統領は「選挙は本来の民主主義の最低限の基準を満たしていない」と結果を承認しない考えを示し、
中米パナマ政府も同様の姿勢を示した。

毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20180522/k00/00m/030/069000c