2017年4月にイギリス議会で可決されたデジタル経済法(Digital Economy Act 2017)では、
オンラインのポルノコンテンツに対してユーザーの年齢を確認する義務が課せられました。
そこで、イギリスでは年齢確認コード「ポルノ・パス」を街中の新聞スタンドなどで
店頭販売するというアイデアが提案されています。

Newsagents and corner shops to sell 'porn pass' access code to allow adults to visit X-rated sites
https://www.telegraph.co.uk/news/2018/05/12/newsagents-corner-shops-sell-porn-pass-access-code-allow-adults/
https://i.gzn.jp/img/2018/05/14/uk-newsstands-sell-porn-passes/00_m.jpg

UK newsstands will sell 'porn passes' to verify ages under new laws - The Verge
https://www.theverge.com/2018/5/13/17349910/uk-newsstands-porn-pass-age-verification-digital-economy-act-2017

2017年にイギリス議会で承認を受けたデジタル経済法は、イギリス国民すべてがブロードバンドにアクセスできるようにしたり、
デジタル技術を利用した公共サービスを可能にしたりするために立案されたもの。
この法律には「青少年をオンラインのポルノコンテンツから守る」という目的も設定されています。

デジタル経済法はポルノサイトにユーザーの年齢確認を義務づけていて、この義務を怠ったサイトは、
違法アップロードで著作権を侵害する海賊サイトと同様にISPやモバイル事業者によるアクセスブロッキングの処置を受け、
25万ポンド(約3700万円)の罰金を科せられるとのこと。
デジタル・文化・メディア・スポーツ大臣のカレン・ブラッドリー議員は
「オンラインのポルノコンテンツの視聴は大人だけに許可されるべきです。
政府は子どもたちを有害なポルノコンテンツから守ることに尽力しています」とコメントしています。

さらに、イギリス政府はイギリスの映像審査機関・全英映像等級審査機構(BBFC)を年齢認証の監督機関に定め、
Pornhub・YouPorn・RedTubeを運営するMindGeekが用意する
年齢認証プラットフォーム「AgeID」を利用した年齢確認システムを導入するよう業界に促しています。

しかし、AgeIDはクレジットカードを利用した年齢認証を行っており、
個人情報の流出などプライバシーへの影響が指摘されています。
デジタルの権利と自由を保護することを目的とするイギリスの団体・Open Rights Groupの代表である
アレク・マフェット氏は「子どもたちは年齢認証システムをくぐり抜けるだろうし、
悪い大人は個人情報をハッキングする可能性があります。
ポルノサイトの代わりに年齢確認を行う企業の信頼性を誰も保証していません」とコメントしています。
また、Open Rights Groupは公式サイトでも、年齢認証システムに対して大々的な反対意見を表明しています。

そこでBBFCは、The Telegraphの取材に対して、
より匿名性の高い年齢認証システムとして店頭販売型の「ポルノ・パス」の発行を提案しています。
「ポルノ・パス」は、オンラインのポルノコンテンツを視聴するために必要な16桁のコードで、
新聞スタンドの店員が運転免許証やパスポートで購入者の年齢を直接確認して発行されます。
発行にはおよそ10ポンド(約1500円)かかるとのことですが、
この方法であればオンラインのデータベースに個人情報を登録する必要がなく、
懸念されているプライバシーの問題もクリアしているとBBFCは主張しています。

デジタル経済法の施行予定は2018年4月末でしたが、BFCによるガイドラインの作成は難航しており、2018年後半まで遅れる見通し。
BBFCは「ポルノ・パス」の採用も含めた年齢認証のガイダンスや細かな規則を定める公開協議を公式サイト上で行っていて、
公開協議により決定されたガイダンスは、デジタル経済法の一部として改めて議会で承認の手続きを受ける予定です。

GIGAZINE
https://gigazine.net/news/20180514-uk-newsstands-sell-porn-passes/